舌下免疫療法

舌下免疫療法とは

舌下免疫療法は、スギ花粉・ダニのアレルギーに効果的な治療法です。アレルギー物質がわずかに入っているエキスや錠剤を用いて、ゆっくり体内に吸収させていくことで、少しずつ症状を緩和させていくという治療です。治療をスタートして大体3ヶ月程度で効果が出始めるものですが、最低3年の治療期間を要するため、時間を必要とする治療となっています。また約4~5年の継続治療を実施することで、約7~8年効果が持続するという結果が出ています。なお、スギの花粉症の場合は、花粉の飛散シーズンに治療を開始するのは不可能となっておりますので、6~12月ごろに治療を始めていきます。ダニの場合は一年中生息しているものなので、治療を始める時期に決まりはなく、いつでも治療をスタートできます。

【当院で処方しております治療薬のご紹介】
  • スギ花粉症の方:シダキュアR
  • ダニアレルギー:ティキュアR

舌下免疫療法と皮下免疫療法との違い

舌下免疫療法が誕生する以前は、皮下免疫療法という治療がよく行われていました。舌下免疫療法は、皮下免疫療法と比較しますと、いろいろな負担軽減がなされた治療法になっています。

■舌下免疫療法のメリット
  • ・痛みを伴わない
  • ・自宅で服用可能ですので、通院回数を大幅に減らすことができる
■皮下免疫療法のデメリット
  • ・治療薬は医療機関で、毎回投与しなければならない
  • ・投与方法が注射なので痛みを伴う
  • ・治療開始からしばらくの間は、何度も通院する必要がある

舌下免疫療法をおすすめできる方

  • 血液検査を受けて、ダニもしくはスギ花粉のアレルギーと診断された方
  • 主治医の指導を受けて、継続的に通院ができる方
  • 毎日忘れずに服薬できる方

舌下免疫療法が不向き・不可能な方

  • 5歳未満のお子様
  • 65歳以上の方
  • 妊婦の方、授乳中の方
  • 持病に重度の気管支喘息をお持ちの方
  • 悪性腫瘍や免疫不全などの既往歴がある方
  • 他のご病気で免疫抑制剤を服薬されている方

舌下免疫療法の副作用のご説明

アレルゲンを、わずかな量ではありますが体内に吸収させていく治療ですので、まれに口の中の違和感や、アナフィラキシーショックを起こす可能性があります。アナフィラキシーショックは、投与から30分以内に起こる重篤な副作用ですので注意が必要であることから、リスクの高い初回服薬については院内で実施し、30分ほど院内で経過観察を行っています。

■主な副作用
  • ・口の中の浮腫【ふしゅ】、かゆみ、不快感
  • ・喉【のど】の刺激感、不快感
  • ・耳のかゆみ
  • ・アナフィラキシーショック など
■アナフィラキシーショックについて

重篤な状況になることがあるので、適切な処置を迅速に行う必要があります。意識混濁、顔面蒼白、口内炎、腹痛、嘔吐、じんましん、息苦しさ、呼吸困難などが起こります。


<アナフィラキシーショックで早期にみられる症状>
・皮膚の症状

蕁麻疹、そう痒感、紅斑・皮膚の発赤などの全身的な皮膚症状(医薬品の投与数分から通常は30分以内に、初発症状のことが多い)

・消化器の症状

胃痛、吐き気、嘔吐、下痢

・眼の症状

視覚異常、視野の狭窄など

・呼吸器の症状

声がかれる、鼻がつまる、くしゃみ、喉のそう痒感、胸のしめつけ感、咳、呼吸困難、呼吸の音がゼーゼー・ヒューヒューする、チアノーゼなど

・循環器の症状

不安、恐怖感、意識の混濁など

舌下免疫療法の開始時期について

■スギ花粉症

6月から12月の期間に治療をスタートします。治療効果については、翌年の花粉飛散時期より期待できます。

■ダニアレルギー

治療に関しては、いつでも開始することができます。治療を始めてから3ヶ月ほどで効果が期待できます。

通院について

治療をスタートして2週間については、週1回の通院になります。それから先の通院については、様子を確認しながら2週間に1回ごと、4週間に1回というかたちでの通院になります。服薬については、毎日の継続が必要です。アレルギー症状は徐々に、少しずつ緩和していきます。ほとんどの患者様は、服薬3ヶ月ぐらいを過ぎたころから、効果を感じられるようになります。舌下免疫療法は治療に、最低でも3年以上必要です。この間、毎日服薬を欠かせませんので、定期的な通院が求められます。症状が緩和してきたら、服薬の量を減らしていきます。

治療の流れ

重篤な状況になることがあるので、適切な処置を迅速に行う必要があります。意識混濁、顔面蒼白、口内炎、腹痛、嘔吐、じんましん、息苦しさ、呼吸困難などが起こります。

初診

問診で、症状や既往症などについてヒアリングを実施します。血液検査を行いまして、スギ花粉、もしくはダニのアレルギーがあることを確認します。

治療開始

舌下免疫療法を希望される患者様には、詳細説明を行います。血液検査の結果で、治療が適切となった場合は、再受診をしていただきまして、舌下免疫療法をスタートします。
初回の服用では、まれではありますがアナフィラキシーショックを引き起こすリスクが考えられるので、副作用が起きないかをしっかり確認する必要があります。アナフィラキシーショックは投与後、30分以内に起こります。そのため院内で服薬していただきまして、そのまま院内で30分間過ごしていただいています。
特に問題がないようでしたら継続治療という流れになります。翌日からはご自身で、毎日継続して舌下投与による服薬を行っていきます。
舌下導入の際は、説明をさせていただきましたあと30分ほど、お時間を頂戴いたしますので、ご予約は最終受付の90分前になります。ご予約の際はあらかじめ、ご注意ください。

定期的な受診

舌下免疫療法は、スタートから3か月間については副作用を警戒しなければなりません。当院では治療開始した2週間は、毎週通院していただいております。それ以降につきましては、2週ごと、4週ごとと来院頻度を変えての通院となります。3ヶ月後以降は、毎月1回の通院となります。

シダキュア服用量

1日1回 1錠

最初の1週間は2,000JAU錠(黄緑色のラベル)を、2週目以降は5,000JAU錠(青色のラベル)を服用します。

シダキュア服用手順

  • *家族の居る場所や日中の服用が推奨されます。
  • *小さなお子さん等は、保護者等の管理下で服用することが推奨されます。
ミシン目にそって、しっかりと折り曲げ、切り離してください。
うら面の「はがす」部分からはがしてください。お薬がやわらかく、割れることがあるため、シートをはがさずに押し出さないでください。
爪を立てずに指の腹で下から押して、お薬を取り出してください。欠けたり割れたりした場合、それらも一緒に服用してください。
舌の下にお薬を置き、1分間保持した後、飲み込んでください。
舌の下に置くとすぐ唾液で溶けてなくなりますが、唾液はすぐに飲み込まず、1分間舌の下に保持してください。
その後5分間は、うがいや飲食をしないでください。

ミティキュア服用量

最初の1週間は3,300JAU錠(黄色のラベル)を、2週目以降は10,000JAU錠(ピンク色のラベル)を1日1回1錠服用します。

ミティキュア服用手順

  • *家族の居る場所や日中の服用が推奨されます。
  • *小さなお子さん等は、保護者等の管理下で服用することが推奨されます。
ミシン目にそって、しっかりと折り曲げ、切り離してください。
うら面の「はがす」部分からはがしてください。お薬がやわらかく、割れることがあるため、シートをはがさずに押し出さないでください。
爪を立てずに指の腹で下から押して、お薬を取り出してください。欠けたり割れたりした場合、それらも一緒に服用してください。
舌の下にお薬を置き、1分間保持した後、飲み込んでください。
舌の下に置くとすぐ唾液で溶けてなくなりますが、唾液はすぐに飲み込まず、1分間舌の下に保持してください。
その後5分間は、うがいや飲食をしないでください。