掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症とは

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは、膿がたまって水ぶくれができる皮膚の疾患です。主に手のひらや足の裏にできます。膿疱の中には細菌やウイルスといった病原体は入っていないため、直接触れても人に感染する心配はありません。ただし、膿疱は繰り返しできるので、治療に時間がかかります。また手のひらや足の裏以外に、すねや膝、肘、頭などにできることがあります。その他、爪の変形や骨や関節が痛むなどの症状が出ることもあります。

原因

掌蹠膿疱症となる原因ははっきりとわかっていません。体調面を含めて様々な要因が関係していると考えられています。一例としては、副鼻腔炎や扁桃炎、虫歯などの病巣感染、そして金属アレルギーなどです。成人では、掌蹠膿疱症を発症する8割が喫煙者というデータもあります。ここ数年において、金属アレルギーとの相関性が指摘されていて、虫歯治療による金属の詰め物から金属成分が溶け出し血流に乗ることによって、掌蹠膿疱症が発症したケースも多く報告されています。

症状

まず、手のひらや足の裏に小さな水ぶくれができます。初期の段階では、かゆみを伴うことが多く、潰してもまた新たに水ぶくれができます。経過とともに、水ぶくれが乾燥してきて、茶色を帯びたかさぶたとなり、やがてはがれて落ちていきます。これで完治となるのですが、一般的に掌蹠膿疱症は、次から次に水ぶくれができる皮膚の疾患です。周囲の皮膚もカサカサ(鱗屑[りんせつ])やひび割れができるので、症状が水ぶくれの周りに大きく広がることが多いです。一旦症状が収まっても、期間を開けてまた水ぶくれができることがあります。風邪などで体調が悪化したときにもできやすく、完治するまでに時間がかかると考えたほうがいいでしょう。
約10~30%の方に骨や関節の痛みが生じることがあります。掌蹠膿疱症は特に前胸部痛(胸肋鎖骨間骨化症)が多いのですが、その他に椎骨、仙腸関節、末梢関節といった、腰や手足、指の関節が痛くなることがあります。

■ 掌蹠膿疱症症例(手)
■ 掌蹠膿疱症症例(足)

治療法

掌蹠膿疱症において金属アレルギーが疑われる場合は、パッチテストを行っています。治療については、外用薬、内服薬、外用薬・内服薬の併用、紫外線療法があります。以下、それぞれについて説明します。

■ 外用薬による治療
強いかゆみや水ぶくれの連続性が確認される場合は、強めのステロイド軟膏を患部に塗ります。症状を見ながら、ステロイド軟膏の強さを加減し、徐々にビタミンD3軟膏に変更します。ステロイド軟膏の使用で副作用を心配する声もありますが、医師が症状を確認しながらの処方となるので副作用をさほど心配する必要はありません。
■ 外用薬と内服薬の併用による治療

外用薬で改善が見られないケースでは、内服薬を併用します。当院では掌蹠膿疱症の治療法として、一部有効性が確認されているビオチン療法を行っています。

ビオチン療法
ビオチンとはビタミンB群に属するビタミンでの一種で、ビオチンの不足により掌蹠膿疱症が増悪している可能性があります。ビオチン療法を続けることで掌蹠膿疱症が良くなります。ビオチンは食事にも含まれており、さらに腸内でも産生されるため、不足することは少ないのですが、腸内フローラが乱れているとビオチンが不足しやすいことがわかっています。ですので、ビオチンに加え、整腸剤(ミヤBM)などを同時に処方することが多いです。
■ 中波紫外線療法

中波紫外線療法は紫外線の「免疫の働きを調節する作用」を利用した治療方法です。掌蹠膿疱症のほか、アトピー性皮膚炎、乾癬、尋常性白斑、円形脱毛症などの難治性疾患に有効です。照射範囲が患部に限られるので、健康な皮膚へ影響を与えることがありません。従来の紫外線療法で改善しにくかった皮膚病変にも効果があり、安全性が高いことも確認されています。

▶︎「中波紫外線療法」に関して詳しくはこちら

対処・予防法・注意など

先述したとおり、掌蹠膿疱症は喫煙者に多くの発症例があるため、該当者については禁煙あるいは喫煙が望ましいといえます。慢性化する皮膚疾患であり、治療が3年から7年と長期にわたることも珍しくありません。根気よく治療を続けていくことが大切です。