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掌蹠膿疱症|原因・やってはいけないこと・治療
手のひら・足の裏の膿疱を繰り返す方へ
一般皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科|最終更新日:2026年7月13日
「手のひらや足の裏に膿のような水ぶくれが繰り返しできる」「塗り薬を塗っても、治ってはまた出てくる」——掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は、良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性の皮膚疾患です。膿の中に細菌やウイルスはなく、人にうつることはありません。
長く「治りにくい病気」とされてきましたが、治療の選択肢は近年大きく変わりました。当院では外用薬・ビオチン療法・エキシマライトによる紫外線治療に加え、2025年3月に掌蹠膿疱症へ適応が追加された内服薬オテズラ(アプレミラスト)による治療にも対応しています。
- オテズラ(アプレミラスト)を院内で処方——外用薬で十分に改善しない中等症〜重症の方の選択肢。注射ではなく飲み薬の全身治療です
- エキシマライトを院内に導入——手のひら・足の裏の病変に絞って照射できる紫外線治療(保険適用)
- ビオチン療法・金属アレルギーのパッチテスト——ご希望に応じて実施しています
- 院内顕微鏡検査で水虫との鑑別——足の膿疱は水虫(白癬)と紛らわしいことがあります。当日その場で調べられます
- 通院を続けやすい——駒沢大学駅直結・予約不要・平日19時まで・土曜17時まで
掌蹠膿疱症とは(症例写真)
掌蹠膿疱症とは、手のひら(掌)と足の裏(蹠)を中心に、膿がたまった小さな水ぶくれ(膿疱)が繰り返しできる皮膚疾患です。膿疱の中に細菌やウイルスといった病原体は含まれていないため、触れても人にうつることはありません。
膿疱はやがて乾いて茶色いかさぶたとなり、はがれ落ちます。しかしその周囲にまた新しい膿疱ができるため、皮膚のカサつき(鱗屑)やひび割れを伴いながら、症状が広がっていくことが多くみられます。手のひら・足の裏のほか、すね・膝・肘・頭皮などに出ることもあり、爪の変形や関節の痛みを伴う場合もあります。
症例写真(手のひら)
症例写真(足の裏)
※症状の現れ方には個人差があります。掲載症例は一例であり、同様の経過を保証するものではありません。
症状|かゆみ・足の裏・関節の痛み
かゆみ
初期には強いかゆみを伴うことが多い疾患です。かゆみは膿疱ができはじめる時期に強く出やすく、掻き壊すと皮膚が傷つき、ひび割れや痛みにつながります。かゆみが強い場合は、我慢せずに治療で抑えることが大切です。
足の裏の症状
足の裏(特に土踏まず・かかと・母趾球のあたり)は、掌蹠膿疱症が出やすい部位です。歩くたびに痛む、皮が厚くむけて割れる、といった訴えが多く、日常生活への影響が大きい部位でもあります。水虫(足白癬)とよく似た見た目になることがあるため、自己判断で市販の水虫薬を使わず、まず診断をつけることが重要です。
関節の痛み(掌蹠膿疱症性骨関節炎)
皮膚の症状に加えて、骨や関節に痛みが出ることがあります。特に多いのは前胸部(胸肋鎖骨間骨化症と呼ばれます)の痛みで、そのほか背骨・仙腸関節・手足の関節に痛みが出ることもあります。「胸が痛いが心臓は異常なしと言われた」という方が、皮膚科で掌蹠膿疱症と診断されるケースもあります。関節症状がある場合は、整形外科・リウマチ科と連携して診療します。
掌蹠膿疱症の原因
掌蹠膿疱症のはっきりした原因は解明されていません。免疫のバランスの乱れを背景に、以下のような要因が関与すると考えられています。
| 関与が指摘されている要因 | 内容 |
|---|---|
| 喫煙 | 最も強く関連が指摘されている要因です。発症者に喫煙者が多いことが報告されており、禁煙により皮疹が改善する例があります |
| 病巣感染 | 扁桃炎・副鼻腔炎・歯周病・虫歯など、体のどこかに慢性の感染巣があると悪化に関わることがあります |
| 金属アレルギー | 歯科治療の金属(詰め物・被せ物)などに含まれる金属成分が関与する場合があります。当院ではご希望に応じてパッチテストを行っています |
| ストレス・疲労 | 悪化のきっかけの一つになりうると考えられています |
掌蹠膿疱症は、皮膚だけを診ていても改善しないことがあります。喫煙・歯科金属・扁桃や副鼻腔の慢性炎症といった背景を一緒に確認し、必要に応じて歯科・耳鼻科と連携するのが当院の方針です。金属アレルギーが疑われる場合は、ご希望に応じてパッチテストで確認できます。
掌蹠膿疱症でやってはいけないこと
掌蹠膿疱症は経過が長い病気です。日常のなかで避けたほうがよいことを整理します。
最も見直すべき習慣です。禁煙によって皮疹が改善する例が報告されており、治療効果にも影響します。禁煙が難しい場合も、まずは受診時にご相談ください。
膿疱をつぶしても新しい膿疱が出るのを止められず、皮膚が傷ついてひび割れ・痛み・細菌感染の原因になります。厚くなった皮も無理にむかないでください。
足の掌蹠膿疱症は水虫と見た目が似ています。水虫でないのに抗真菌薬を塗り続けると、かぶれて悪化することがあります。まず診断をつけてください。
膿疱が落ち着いても、再燃を繰り返しやすい病気です。中断のタイミングは医師と相談して決めましょう。
摩擦や刺激は悪化の要因になります。ゴシゴシ洗い、熱すぎるお湯、消毒薬の多用は避け、保湿を心がけてください。
「特定の食品を一切断つ」「歯科金属をすべて外す」といった極端な対応は、必ずしも必要ではありません。金属アレルギーが疑われる場合も、まずパッチテストで確認してから、歯科と相談して判断します。診断のないまま自己流の除去に踏み切ると、負担ばかりが大きくなります。
食べ物とビオチン療法
掌蹠膿疱症に「効く食べ物」「食べてはいけないもの」はありますか?
正直にお答えすると、「これを食べれば治る」「これを避ければ治る」と断言できる食品はありません。掌蹠膿疱症で食事に関して確立しているのは、喫煙のような明確な悪化要因とは異なり、食品そのものの制限ではなく、ビオチン(ビタミンB群の一種)の不足に着目したビオチン療法という考え方です。
ビオチンはレバー・卵黄・大豆・ナッツ類・きのこ類などに多く含まれます。バランスの取れた食事は体調を整えるうえで大切ですが、特定の食品を極端に避けたり、逆に大量に摂ったりする必要はありません。食事制限よりも、禁煙・治療の継続のほうがはるかに重要です。
ビオチン療法とは
ビオチンはビタミンB群に属する水溶性ビタミンです。腸内細菌によっても作られますが、腸内環境が乱れていると不足しやすいことが知られています。当院では、ビオチン製剤に整腸剤(ミヤBM等)を組み合わせて処方することがあります。外用薬だけで改善が乏しい方に、補助的な治療として用いる方法です。
ビオチンは水溶性ビタミンで、余剰分は尿として排泄されるため、通常の用量で重い副作用が起きることはまれです。ただし注意点があります。
- 血液検査の値に影響することがあります——高用量のビオチンは、甲状腺ホルモンや心筋マーカーなど一部の検査値を実際とは異なる値に見せることが知られています。他院で採血を受ける際は、必ず「ビオチンを飲んでいる」と申告してください
- 効果には個人差があります——すべての方に有効というわけではなく、効果が乏しい場合は他の治療に切り替えます
- 自己判断の高用量サプリは推奨しません——市販サプリを大量に摂るのではなく、診察のうえ用量を決めて処方します
水虫・汗疱との見分け方
手足に水ぶくれ・皮むけが出る病気は掌蹠膿疱症だけではありません。治療法が異なるため、まず診断をつけることが最優先です。
| 疾患 | 見分けのポイント |
|---|---|
| 掌蹠膿疱症 | 手のひら・足の裏に膿疱が繰り返し出る。左右両方に出ることが多い。爪の変形や胸の痛みを伴うことがある |
| 水虫(足白癬・手白癬) | カビ(白癬菌)が原因。片足だけのことが多い。顕微鏡検査で菌を確認して診断します |
| 汗疱(異汗性湿疹) | 透明な小さな水ぶくれが手のひら・指の側面に出る。膿はたまらない |
| 膿疱型乾癬・接触皮膚炎など | 見た目が似ることがあり、診察で鑑別します |
水虫が疑われる場合、当院では院内の顕微鏡検査で受診当日に白癬菌の有無を確認できます。「水虫の薬を塗り続けたが良くならない」という方が、実は掌蹠膿疱症だったというケースは珍しくありません。
掌蹠膿疱症の治療
掌蹠膿疱症の治療は、外用薬を基本に、改善が不十分な場合は内服薬・紫外線治療を組み合わせて進めます。あわせて禁煙・病巣感染・金属アレルギーといった背景要因にも対応します。
1. 外用薬(基本の治療)
膿疱やかゆみが強い時期には、ステロイド外用薬で炎症を抑えます。症状の落ち着き方に合わせて強さを調整し、ビタミンD3外用薬へ切り替えていくのが一般的な流れです。ステロイド外用薬は、長期に同じ部位へ使い続けると皮膚が薄くなる・毛細血管が広がるなどの副作用があるため、経過を診ながら量と期間を管理します。
2. ビオチン療法(補助的な内服治療)
外用薬だけで十分な改善が得られない場合、ビオチン製剤と整腸剤を組み合わせて処方することがあります(詳細は上記「食べ物とビオチン療法」をご覧ください)。
3. エキシマライトによる紫外線治療(中波紫外線療法・保険適用)
紫外線の免疫調整作用を利用した治療です。308nmの波長を手のひら・足の裏の病変部に限定して照射します。週1〜2回の照射を継続し、皮膚の反応を見ながら照射量を調整します。照射部位に日焼けのような赤みが出ることがあります。効果・経過には個人差があります。
4. オテズラ(アプレミラスト)——外用薬で改善しない中等症〜重症の方へ
オテズラは、体内で炎症を引き起こす物質の産生に関わるPDE4という酵素の働きを抑える飲み薬です。2025年3月に「局所療法で効果不十分な掌蹠膿疱症」に対して国内で適応が追加されました。対象は、中等症から重症の膿疱・小水疱病変がある方です。
注射の生物学的製剤とは異なり内服薬であること、投与前の特別な検査負担が比較的少ないことから、当院のような外来クリニックでも導入しやすい全身治療です。当院ではオテズラの処方に対応しており、外用薬・紫外線治療で改善しきらない方の選択肢としてご提案しています。
- 下痢・吐き気・嘔吐などの消化器症状が出ることがあります。開始時は少量から段階的に増やす方法(漸増投与)でこれを軽減します
- 頭痛・体重減少・気分の落ち込みが報告されています。重度の下痢は重大な副作用として注意喚起されています
- 妊娠中の方には使用できません。腎機能が低下している方は用量調整が必要です
- 薬剤費は他の内服薬より高額になります。費用の目安は診察時にご説明します
5. 難治例——専門施設との連携
上記の治療でも改善が乏しい難治例では、生物学的製剤など、より専門的な治療が必要になる場合があります。その際は適切な医療機関へご紹介します。当院で対応できる範囲と、紹介すべき段階を正直にお伝えするのが方針です。
費用・保険適用について
掌蹠膿疱症の診察・検査・外用薬・内服薬・紫外線治療は健康保険が適用されます。エキシマライトによる照射の費用は以下のとおりです。
| 負担割合 | 照射1回あたりの費用 |
|---|---|
| 3割負担 | 1,020円 |
| 2割負担 | 680円 |
| 1割負担 | 340円 |
※初診料・再診料・処方料は別途かかります。※オテズラは薬剤費が高額になるため、費用の目安は診察時にご説明します。※パッチテストの費用も診察時にご案内します。※費用は目安であり、診療報酬の改定等により変更となる場合があります。最新の費用は診察時にご確認ください。
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治療の選択肢は近年広がりました。「塗り薬しか試したことがない」という方こそ、ご相談の価値があります。
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関連ページ
掌蹠膿疱症の治療や、見分けが必要な疾患についてはこちらもご覧ください。
よくある質問
医療法人社団 誠清会 理事長
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 山梨医科大学医学部(現・山梨大学医学部)卒業 / 同大学皮膚科入局
- がん研究会がん研究所 生化学部 国内留学(皮膚がん発生メカニズム研究)
- スウェーデン・ルードヴィック癌研究所 留学(国際共同研究)
- 山梨医科大学附属病院 皮膚科 医局長 歴任
- 2003年 駒沢皮膚科クリニック 開業(開業20年以上)
皮膚がん・アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・ニキビ・ニキビ跡・アレルギー性皮膚疾患・美容皮膚科
- 医学博士
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会 会員
- 日本臨床皮膚科学会 会員
- 日本アレルギー学会 会員
- 日本美容皮膚科学会 会員
- 血小板由来増殖因子(PDGF)に関する研究——文部科学省 科学研究費補助金 採択
- 隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)に関する研究——日本皮膚科学会基礎医学研究費(資生堂寄付)採択
掌蹠膿疱症の患者さんの多くは、「何年も塗り薬を続けているが良くならない」「もう治らない病気だと言われた」という気持ちを抱えて来院されます。確かに経過の長い病気です。しかし治療の選択肢は、この数年で着実に増えました。当院では外用薬・ビオチン療法・エキシマライトによる紫外線治療に加え、外用薬で改善しない中等症以上の方には、2025年に掌蹠膿疱症へ適応が追加された内服薬オテズラも選択肢としてご提案しています。禁煙や歯科金属といった背景の見直しも含めて、一緒に手を打っていく病気です。「塗り薬しか試したことがない」という段階の方こそ、一度ご相談ください。
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