尋常性乾癬

尋常性乾癬とは

尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)とは、皮膚に紅斑(赤い斑模様の皮疹)ができる皮膚の疾患で、炎症性角化症の一つです。炎症と角化症が同時に起こり、厚い角層からフケのように皮がめくれる症状が見られます。また、爪の変形や関節炎などを併発するケースもあり、根治に時間のかかる皮膚病です。治癒したかどうかの判断も難しいため、症状を繰り返す慢性化を起こしやすいです。尋常性乾癬は体のどこにでもできるのですが、主に肘や膝などの力がかかりやすい部位、さらに体幹・腰・両下腿などにも発症します。

原因

尋常性乾癬の発症原因は明らかになっていないのが現状です。しかし、発症に遺伝的素因があることがわかっています。この遺伝的素因に不規則な生活や偏食、ストレス、肥満、感染症、薬剤の摂取などが加わることで、尋常性乾癬が発症するとされています。
また、尋常性乾癬は感染しません。感染が乾癬のきっかけになることはありますが、皮膚に炎症がおきているだけです。

症状

尋常性乾癬になると皮膚が赤く盛り上がり、その表面を覆う細かいカサブタがフケのようにボロボロと剥がれ落ちます。
これは表皮細胞の異常な増殖が起き、健康的な皮膚よりも10倍以上の速さで表皮が作られ、そして過剰に作られた表皮が積み重なって剥がれていくためです。このとき炎症性の細胞が集まって活性化するため、毛細血管が拡張して赤みを帯びたようになります。
尋常性乾癬は、特に肘やひざ、腰回りなど、摩擦を受けやすい部位によくみられます。頭皮や爪に症状が出ることもあり、かゆみを伴う場合があります。 そのほかに、関節の痛みや腫れ、変形などの症状が起こることもあります。

治療法

尋常性乾癬の治療には、ステロイド剤などの外用薬が中心となります。難治のケースでは、外用薬にプラスして紫外線療法を併用して治療効果を高めます。また、症状の度合いにより医師の判断によって、内服療法や生物学的製剤といった全身療法を併用する場合もあります。

■ 外用薬による治療
ステロイド外用剤、ビタミンD3外用剤、ステロイドとビタミンD3の配合剤などの外用療法を行います。尋常性乾癬の症状によって処方が変わります。副作用を心配する患者様も少なくありませんが、症状を見ながら医師の診断によって処方するので安心です。
■ 中波紫外線療法

中波紫外線療法は紫外線の「免疫の働きを調節する作用」を利用した治療方法です。尋常性乾癬のほか、掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎、乾癬、尋常性白斑、円形脱毛症などの難治性疾患に有効です。照射範囲が患部に限られるので、健康な皮膚へ影響を与えることがありません。従来の紫外線療法で改善しにくかった皮膚病変にも効果があり、安全性が高いことも確認されています。

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■ 2. 内服療法

尋常性乾癬の症状が中等症から重症の場合、内服療法を併用しています。様々な内服薬があり、免疫抑制作用を有するもの、角化異常症治療薬に有効なもの、さらには免疫調整薬など症状に合わせて処方します。

アプレミラスト(オテズラ)
免疫抑制作用を持った世界初の経口ホスホジエステラーゼ(PDE4)阻害剤です。炎症性細胞に分布するPDE4の働きを阻害することで炎症反応を浴せします。アプレミラストは免疫細胞に影響を及ぼす可能性が低いことから、副作用が少ない内服薬として知られています。アプレミラストは紫外線療法と併用されることが多い内服薬です。
メトトレキセート
難治が認められる尋常性乾癬と関節症性乾癬に用いられる内服薬です。
シクロスポリン(ネオーラル)
過剰な免疫作用を抑える内服薬です。内服薬として高い効果が期待できますが、血圧上昇や腎臓の機能障害、多毛などの副作用が起きる場合があるので、服用中は定期的な検査が必要です。

対処・予防法・注意など

尋常性乾癬の予防として肌への刺激を減らすことが重要です。衣服は綿素材などの刺激の少ないものなどを選びましょう。また入浴の際は熱いお湯や長風呂は避け、体をゴシゴシと擦らないよう気をつけましょう。乾燥しないよう入浴後は保湿クリームを塗るなどしてください。
日光に含まれる紫外線には、炎症をやわらげたり、皮膚の新陳代謝を抑制する作用があるため、日光浴や散歩もおすすめです。