脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎とは

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、頭や顔などの皮脂が多い場所にできる湿疹です。別名脂漏性湿疹(しろうせいほっしん)とも言われています。赤ん坊から大人にまで年齢を問わず発症する病気であり、乳児が発症すると乳児脂漏性皮膚炎と呼びます。

原因

皮膚に常在しているマラセチアというカビが原因です。マラセチアは皮脂をエサとしており、皮脂が増えると増殖します。皮脂成分がカビによって遊離脂肪酸に分解されると皮膚に刺激を与えるので痒みが出て発症します。また増殖したカビも皮膚に痒みを与えます。なぜカビが増殖するのかはわかっていませんが、環境変化による皮脂分泌増加、ビタミンB2などの代謝異常、入浴不足、ストレス、寝不足、ホルモンの乱れなどが要因と考えられます。

症状

発症すると、頭皮、生え際、眉毛、耳の後ろ、脇の下、胸、股間、膝の裏などに赤みが出ます。皮脂腺が発達している部分であり、脂漏部位と言われています。つまり皮脂の多い部分でよく症状が見られます。痛みはなく、人によっては軽度の痒みがあります。患部は赤くなり、黄色がかったフケや乾燥したウロコ状のフケが発生します。酷くなればかさぶたのようになります。
乳児の脂漏性皮膚炎は一過性のものが多く、正しくスキンケアをすれば自然に改善するでしょう。思春期以降の大人の脂漏性皮膚炎は良くなったり悪くなったりと繰り返し慢性化するのがほとんどです。慢性化して悪化すれば自然治癒はしないので診察を受けて適切な処置が必要です。

治療法

■ ステロイド外用療法
一般的にはステロイド外用で治療し、短期間外用するだけで改善します。顔や体には軟膏を、頭皮には液体ローションを塗ります。顔や首は皮膚が薄いために、ステロイドを長期使用するとステロイドの副作用が出るので、弱めのステロイドを使うようにします。
■ 抗真菌外用剤による治療
抗真菌外用剤はマラセチアの活性をおさえる効果があり、再発のしやすい脂漏性皮膚炎には有効な薬です。効果が出るまで時間がかかりますが、ステロイドと違い副作用が少ないです。そのために軽度の方や再発防止に使用する薬であり、重度の方に使っても効果はほとんどありません。
■ 生活習慣の改善
脂漏性皮膚炎は生活習慣を見直すだけでも改善されます。適切に洗顔と洗髪を行い皮脂の多い部分は清潔に保ちましょう。抗真菌剤が含まれたシャンプーもおすすめです。
また食生活も大切です。ビタミンB群を多く含む食品(レバー、しじみ、牛乳、卵、キャベツ、しいたけ)などを食べ、糖分やアルコールは控えるようにします。暴飲暴食やストレス、不眠も原因となるので、規則正しい生活を心がけましょう。

対処・予防法・注意など

正しい洗顔や洗髪が必要ですが、改善が見られない場合は、油分の少ない石鹸やシャンプーに変えてみましょう。当院では、2e(ドゥーエ) シャンプーを使用しております。低刺激の敏感肌用のシャンプーで頭皮のうるおいを守りながら、汚れだけを落とすシャンプーです。頭皮を洗うときは爪を立てず、指のはらで優しく洗います。
治療にステロイド外用薬を使う際は、ステロイドの長期使用は良くないため、医師と相談して服用期間を決めてください。ただし外用を止めると再発するケースもあります。もしもローションタイプを使うときには、髪の毛ではなく頭皮につけるようにして、たっぷりと塗ると効果を発揮します。