巻き爪・陥入爪

巻き爪・陥入爪とは

足の爪のトラブルとして巻き爪や陥入爪(かんにゅうそう)が多く見られます。巻き爪は足の爪が内側に湾曲した状態、陥入爪は爪の先端角部位が外側の皮膚に食い込み、炎症や化膿を生じた状態のことをいいます。巻き爪と陥入爪は、主に足の親指に生じますが、他の足指や手に生じることもある爪の病気です。また、巻き爪により陥入爪を引き起こす場合もあります。いずれもセルフケアによる根本治療は難しいため、すぐに病院で治療を受けましょう。

原因

巻き爪と陥入爪の原因は以下のようなものがあります。

  • 深爪などの誤った爪切り
  • サイズの合わない靴
  • 体重増加による足の指への負担
  • 水虫
その他遺伝なども関係します。女性の場合、ハイヒールや妊娠中の体重増加から、つま先に圧がかかることも原因になるため注意が必要です。

症状

■ 巻き爪
巻き爪は足の爪が内側に湾曲し、皮膚に食い込むことで強い痛みを生じます。
■ 陥入爪
陥入爪は爪の先端角部位が外側の皮膚に食い込み、炎症や化膿が生じた状態です。悪化すると出血や肉芽などをともない、歩行が困難になるほど、強い痛みを引き起こします。

治療法

当院では巻き爪はワイヤー療法、陥入爪はフェノール法を行っております。
治療の第一歩は、深爪をしないで爪を伸ばし、爪が肉に当って痛いときには、爪の角の部分に綿のかたまりをつめる処置を行っていただきます。この処置 を行いなら、きつい靴などを履かないように注意していると、多くの場合は痛みが軽減し爪を伸ばすことが可能になります。爪が十分に伸びたところで超弾性ワイヤーを用いた爪矯正治療を行えば、手術をしなくても爪の変形を治すことができます。ただし、爪矯正治療は比較的時間をかけて行う治療ですのが、痛みが強くて爪を伸ばすことができない方には陥入爪手術(フェノール法)を行うこともあります。

巻き爪の治療(ワイヤー療法)

爪の2箇所に小さな穴をあけ、超弾性ワイヤーを留置する治療法です。ワイヤーが元の形状に戻ろうとする弾性により、皮膚に食い込んだ爪を浮かせることで矯正します。約1ヶ月〜1.5ヶ月ごとにワイヤーを交換する必要があり、爪が正常な状態へ改善するのには約3〜6ヶ月かかります。また、再発することも少なくありません。なお患部が化膿している巻き爪・陥入爪へは適応されない治療法です。※超弾性ワイヤーを用いた爪矯正治療は保険適用外です。

■ 超弾性ワイヤーを用いた爪矯正治療
超弾性ワイヤーを用いた爪矯正治療
初診 片足¥6,600(税込)/
両足¥11,000(税込)
再診 ワイヤーの交換 ¥2,200円(税込)

巻き爪矯正コレクティオパーフェクト

爪溝にワイヤーのフックを引っ掛け、ワイヤーをねじり上げて爪を浮かせることで矯正する治療法です。(コレクティオ法) 約2〜3ヶ月かけてワイヤーが爪の先まで来ると、ワイヤーに矯正力がなくなるので外します。(自然に外れることもあります。) 基本的に1度の施術で巻き爪が改善しますが、爪の巻き具合がひどい場合は継続的な矯正が必要な場合があります。また再発することも少なくありません。 なお、患部が化膿している状態の爪には適応されない治療法です。
ワイヤー治療は保険適用外です。

治療の流れ
▼ Step1
爪の表面にヤスリでキズをつけ、爪溝の角質を除去します。
▼ Step2
左右の爪溝にワイヤーのフックを挿入します。
▼ Step3
左右のワイヤーを引き上げながらねじ上げ矯正強度を決め、ワイヤーをジェルで爪に固定します。
副作用とリスク
片足1本 9,900円(税込)
両足1本ずつ 18,700円(税込)
何かありましたら医師にご相談ください。

陥入爪の治療(フェノール法)

フェノール法は強い蛋白腐食作用を持つフェノールという薬剤を用いた手術法です。食い込む爪の一部を抜爪し、フェノールを塗布することで、爪の成長を促す爪母細胞を焼灼します。塗布した箇所の爪は生えなくなり、爪の幅が狭くなります。麻酔をするため、手術中の痛みはありません。入院は不要で、術後の疼痛も少なく、普通に歩いて帰宅できます。※フェノール法は保険が適用されます。

▼ Step1 局所麻酔
局所麻酔は、足指の付け根の部分に麻酔の注射をします。
▼ Step2 手術デザイン
爪の陥入具合などを確認し、状態に合わせて、切除する爪の範囲を決定します。
▼ Step3 駆血
手術の出血を少なくするために、ゴムバンドで患趾の基部を駆血します。
▼ Step4 爪甲の切除
切除する範囲の爪甲を、周囲組織から丁寧に剥離します。
▼ Step5 フェノールによる処理
細綿棒にフェノールを浸し、爪甲を除去した部分に挿入し、爪母に押し当てます。 30秒を6回(合計3分)を基準に患者さんの状態に応じて時間を調整します。
▼ Step6 フェノールの中和と洗浄
無水エタノールで中和後に、綿棒を使って生理食塩水で洗浄します。フェノールは強い蛋白腐食性をもつため、残存したフェノールが組織に作用し続け、傷の治癒が遅れたり周辺に炎症が出ないようする必要があります。そのため、フェノールの効果を中和し、よく洗い流します。
▼ Step7 止血とドレッシング
術後に出血しないようにバイポーラ(電気メスの)を使って止血をします。その後軟膏を塗布しガーゼで覆って手術は終了です。バイポーラを使わない場合は、爪甲抜去部にガーゼを詰めて圧迫しながら創部を覆います。
▼ Step8 術後の処置と通院
手術当日から歩行での帰宅が可能です。術後の感染予防を目的として内服の抗生物質、痛み止め、処置用の塗り薬を処方します。
翌日からシャワーが可能ですが、傷が落ち着くまで創部を湯船に浸ける入浴は控えていただきます。入浴時は創部も洗い流し、ご自身で軟膏塗布とガーゼ保護を1日1回します。

セルフケアや応急処置

巻き爪や陥入爪の予防には正しい爪切りを行うことが大切です。食い込んだ爪を切ろうとして深爪となり、爪の食い込みが悪化することが多くあります。陥入爪の場合、誤った爪の切り方により、トゲ状の爪が皮膚を傷つけ、細菌が侵入する可能性があるため注意が必要です。

■ 正しい爪の切り方

足の爪は短く切りすぎないことが大切です。巻き爪専用の爪切りニッパーの使用がおすすめです。

  • 爪を指の形に沿わせず、真っ直ぐに切る
  • 爪の白い部分の長さが約1mm残るくらいが理想的
  • 爪の先の白い部分は四角い形に切る
■ 誤った爪の切り方
  • 三角切り
  • 丸切り
  • 切りすぎ
テーピングによるセルフ矯正
爪の食い込みがある爪の横の皮膚に、伸縮タイプのテーピングを貼ることで巻き爪を矯正する方法です。テーピングを引っ張るよう、螺旋状に足の指に巻きつけ固定します。テーピングの持つ張引力の原理により、皮膚に食い込んだ爪を引き上げることで刺激を減らすことができます。
軽度の巻き爪であれば改善する場合もありますが、テーピングの失敗により悪化することもあるため注意が必要です。
コットンによるセルフ矯正
爪の食い込み部位にコットンを少しずつ詰めることで、爪を持ち上げるセルフ矯正で、コットンパッキングと呼ばれています。誰でも比較的容易に行うことができ、巻き爪の応急処置にも利用できます。しかし既に炎症や化膿、肉芽を生じている場合は、病院で診察を受けましょう。