脂漏性皮膚炎の症状・原因・治し方|顔・頭皮・フケを皮膚科専門医が解説|駒沢皮膚科
脂漏性皮膚炎の症状・原因・治し方|顔・頭皮・フケを皮膚科専門医が解説
一般皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科
「顔が赤くてかゆい」「頭皮のフケがなかなか治らない」「鼻の横や眉毛の間がカサカサする」——脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)はこうした症状が繰り返し起こる慢性の皮膚疾患です。「脂漏性湿疹」とも呼ばれます。
脂漏性皮膚炎は皮膚のバリア機能が壊れて皮脂が漏れ出すことが根本的な原因です。漏れた皮脂を常在菌(マラセチア)が分解することで炎症が起き、赤み・かゆみ・フケが発生します。市販薬だけでは根本的な改善が難しく、皮膚科で適切な処方薬を使うことが改善への近道です。このページでは症状・原因・悪化因子・治し方を皮膚科専門医が詳しく解説します。
- 脂漏性皮膚炎の症状・見た目の特徴(写真で確認)
- 原因(皮膚バリアの破壊・皮脂の漏出・マラセチア菌の役割)
- 顔・頭皮・耳など部位別の特徴
- 悪化させる原因(ストレス・食事・生活習慣)
- 治し方の概要と皮膚科を受診すべきタイミング
- 乾癬・アトピーとの違い
脂漏性皮膚炎とは
脂漏性皮膚炎は皮脂の分泌が多い部位(頭皮・顔・耳の後ろ・胸など)に赤み・かゆみ・鱗屑(フケ状の皮むけ)が繰り返し起こる慢性の炎症性皮膚疾患です。乳児と成人に多く見られます。
- 別名:脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)
- 好発部位:頭皮・額の生え際・眉間・鼻の横・耳の周り・胸・背中
- 特徴:良くなったり悪くなったりを繰り返す(慢性・再発性)
- 感染:他の人にはうつりません
- 治療:保険適用の処方薬で対応します
乳児脂漏性湿疹について
生後2〜3ヶ月の乳児にも脂漏性湿疹は起こりますが、多くは生後6ヶ月〜1歳頃までに自然に改善します。頭皮に黄色いかさぶた状のものが付着するのが典型的です。改善しない場合は受診してください。
症状・見た目の特徴(写真)
脂漏性皮膚炎の症状は部位によって異なりますが、共通する特徴は「赤み」「かゆみ」「鱗屑(フケ状の皮むけ)」の3つです。
※上記は当院受診患者さんの症状例です。掲載にあたり患者さんのご同意を得ています。
顔の脂漏性皮膚炎
- 鼻の横(鼻翼溝)——赤み・皮むけが最も起きやすい場所
- 眉毛の間・眉毛の中——フケのような鱗屑が出る
- 額の生え際——髪の毛の際に赤みが帯状に広がる
- まぶた・耳の後ろ——かゆみ・赤みが出やすい
頭皮の脂漏性皮膚炎
- 大量のフケ——白い粉状・またはベタベタした黄色いフケ
- 頭皮の赤み——地肌を見ると赤く炎症している
- かゆみ——掻くと悪化・フケが増える
- かさぶた——頭皮に厚い黄白色のかさぶたが付着することがある
原因(皮膚バリアの破壊と皮脂の漏出)
脂漏性皮膚炎の根本的な原因は皮膚のバリア機能が壊れて皮脂が漏れ出すことです。漏れた皮脂に常在菌(マラセチア)が反応して炎症が起きる——これが脂漏性皮膚炎の発症メカニズムです。
- ① 皮膚のバリア機能が壊れる
- ストレス・睡眠不足・体質・ホルモンバランスの変化などにより、皮脂が多い部位(頭皮・顔・耳など)の皮膚バリアが脆弱になります。
- ② バリアが壊れた部位から皮脂が漏れ出す
- バリア機能が低下した皮膚から皮脂が過剰に漏出します。これが炎症の引き金になります。
- ③ マラセチア(常在菌)が皮脂を分解→炎症の悪循環
- 漏れ出た皮脂をマラセチア(Malassezia:皮膚に常在する真菌)が分解し、遊離脂肪酸(オレイン酸など)を産生します。この遊離脂肪酸がさらに皮膚を刺激して炎症を引き起こし、バリアをさらに壊す悪循環に陥ります。
- ④ ターンオーバーが乱れ、フケ・鱗屑が発生
- 炎症により角質の生え替わりが異常に早くなり、鱗屑(フケ状の皮むけ)が大量に発生します。
教科書や多くの医療情報サイトでは「脂漏性皮膚炎の原因=マラセチア菌」と書かれていますが、実際の診療現場ではマラセチアは原因の一つに過ぎないと感じています。
当院の臨床経験では、脂漏性皮膚炎の本質は皮膚バリアが壊れて皮脂が漏れ出すことにあり、マラセチアはその結果として増殖する「悪化因子」です。実際に、抗真菌薬(ケトコナゾール)だけでは改善しない患者さんが多くいらっしゃいます。むしろ炎症がある急性期に抗真菌薬を塗ると、刺激で悪化するケースを数多く経験しています。
そのため当院では急性期にはステロイド外用+抗アレルギー薬内服でまず炎症を確実に抑え、炎症が落ち着いた維持期に抗真菌薬で様子を見るという順序で治療を行っています。「抗真菌薬を塗っても良くならない」「むしろ赤みが悪化した」という方は、治療の順序が逆になっている可能性があります。
脂漏性皮膚炎になりやすい人
- 皮脂分泌が多い人——思春期以降の男性に多い(男性ホルモンが皮脂分泌を促進)
- ストレス・過労・睡眠不足が続いている人
- ビタミンB群が不足しがちな食生活の人
- 免疫機能が低下している人(HIV感染者・免疫抑制薬使用中など)
- パーキンソン病の患者さんに合併率が高いことが知られています
悪化させる原因・避けるべきこと
| 悪化因子 | 具体的な内容と対処 |
|---|---|
| ストレス・過労 | 最も多い悪化因子。自律神経の乱れが皮脂分泌を増加させる。十分な睡眠・休息を |
| 洗い残し・洗いすぎ | 洗顔・洗髪が不十分だと皮脂が蓄積しマラセチアが増殖。逆に洗いすぎると皮膚バリアが壊れて悪化する |
| 脂質の多い食事 | 揚げ物・ジャンクフード・甘いものの過剰摂取は皮脂分泌を増加させる |
| ビタミンB群の不足 | ビタミンB2・B6は皮脂の代謝に関わる。偏った食事は悪化の原因になる |
| 季節(秋冬・梅雨) | 乾燥する秋冬に悪化する人が多い。一方、湿度が高い梅雨に悪化する人もいる |
| 飲酒 | アルコールは皮脂分泌を増加させ、ビタミンB群を消費する。節酒を |
乾癬・アトピー・接触性皮膚炎との違い
脂漏性皮膚炎は他の皮膚疾患と見た目が似ていることがあり、自己診断が難しい場合があります。
| 疾患 | 主な違い |
|---|---|
| 乾癬 | 銀白色の厚い鱗屑が特徴。肘・膝にも出やすい。脂漏性皮膚炎の鱗屑は薄く黄白色 |
| アトピー性皮膚炎 | 強いかゆみ・肘の内側や膝の裏が典型的部位。家族歴・アレルギー体質が関係 |
| 接触性皮膚炎 | 特定の物質(化粧品・シャンプー等)が触れた部位に限定して出る。原因物質を避ければ改善 |
| 白癬(みずむし) | 頭部白癬(しらくも)は脂漏性皮膚炎と紛らわしい。真菌培養で鑑別が必要 |
自己判断で市販薬を使い続けると悪化することがあります。鑑別には皮膚科での診察が必要です。
治し方の概要
脂漏性皮膚炎は完全治癒が難しいですが、適切な処方薬で症状をコントロールし、再発を予防することが治療の目標です。
- 外用ステロイド(炎症を抑える・急性期の基本)
- 赤み・かゆみ・鱗屑がある急性期には、部位に合わせた適切な強さのステロイド外用で炎症を速やかに抑えます。顔には弱めのステロイドを短期間使用します。
- 抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)内服
- かゆみ・炎症を内側から抑えます。ステロイド外用と組み合わせて使用します。
- ビタミンB2・B6の内服
- 皮脂の代謝を正常化するために処方することがあります。保険適用です。
- 抗真菌外用薬(維持期に使用することがある)
- 炎症が落ち着いた維持期に、ケトコナゾール(ニゾラール)などの抗真菌薬で再発を予防することがあります。なお、炎症が強い急性期に抗真菌薬を塗ると悪化することがあるため、炎症がある段階では基本的に使用しません。
皮膚科を受診すべきタイミング
- 市販薬(フケ用シャンプー・保湿剤など)を2週間以上使っても改善しない
- 顔の赤み・鱗屑が繰り返す
- フケが大量に出て止まらない
- かゆみが強くて日常生活に支障がある
- 脱毛が進んでいる気がする(脂漏性脱毛の可能性)
- 乾癬やアトピーとの区別がつかない
脂漏性皮膚炎は皮膚科で適切な処方薬(抗真菌薬)を使うことで、市販薬だけでは得られない改善が期待できます。「フケが多いだけ」と思わず、早めに受診してください。
顔の赤み・フケ・頭皮のかゆみはご相談ください
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「これは脂漏性皮膚炎?」「脂漏性皮膚炎かどうか分からない」方もお気軽にご来院ください。処方薬は保険適用で市販品より安い場合がほとんどです。
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医療法人社団 誠清会 理事長
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 山梨医科大学医学部(現・山梨大学医学部)卒業 / 同大学皮膚科入局
- 同附属病院 救急科麻酔部にて全身管理を習得(研修医時代)
- がん研究会がん研究所 生化学部 国内留学(皮膚がん発生メカニズム研究)
- スウェーデン・ルードヴィック癌研究所 留学(国際共同研究)
- 山梨医科大学附属病院 皮膚科 医局長 歴任
- 2003年 駒沢皮膚科クリニック 開業(開業20年以上)
皮膚がん・アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・ニキビ・ニキビ跡・アレルギー性皮膚疾患・美容皮膚科
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本皮膚学会 会員
- 日本臨床皮膚科学会 会員
- 日本アレルギー学会 会員
- 日本美容皮膚科学会 会員
脂漏性皮膚炎は「フケが多いだけ」「体質だから仕方ない」と放置されがちですが、処方薬で炎症を抑えれば症状はかなり改善できます。根本的な原因は皮膚のバリアが壊れて皮脂が漏れ出すことです。急性期にはステロイド外用と抗アレルギー薬内服で炎症を速やかに抑え、落ち着いた後に補助的に抗真菌薬を使うこともあります。市販のフケ用シャンプーを何ヶ月も試して改善しないという方が多く来院されますが、適切な処方薬に切り替えるだけで大きく変わることがあります。また脂漏性皮膚炎は乾癬やアトピー性皮膚炎と見た目が似ていることがあり、自己判断が難しいケースもあります。「フケが多い」「顔の赤みが引かない」と感じたら、ぜひ皮膚科を受診してください。
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