脂肪腫とは|背中・腕のやわらかいしこりと手術の目安

皮膚科専門医 監修コラム

脂肪腫とは|
背中・腕のやわらかいしこりと手術の目安

専門医監修 保険診療対応 駒沢皮膚科クリニック|駒沢大学駅直結
公開日:2026年11月18日 / 最終更新日:2026年11月18日
駒沢皮膚科クリニック院長 清水顕医師
監修:清水 顕(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/医学博士) 医療法人社団 誠清会 駒沢皮膚科クリニック 院長
一般皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科(医師紹介)
この記事の結論
  • 脂肪腫は皮膚の下にできるやわらかく、動く、痛みのない良性のしこり。背中・肩・腕・太ももに多く、ゆっくり大きくなります
  • 診察で良性と判断され、困る症状や増大がなければ経過観察も選べます。目立つ・当たる・診断を確かめたい場合は保険で切除手術ができます
  • 急に大きくなる・硬い・深い・痛いしこりは、大きさにかかわらず手術を決める前に評価が必要です。触った感じだけでは別の病気と区別できません

「背中にやわらかいこぶがあって、少しずつ大きくなっている」「腕の内側にぷにぷにしたしこりがある。痛くはないけれど気になる」「粉瘤と言われたことがあるけれど、本当にそうなのか」——皮膚の下のやわらかいしこりで最も多いのが脂肪腫(しぼうしゅ)です。

脂肪腫は良性で、急いで取る必要はないことがほとんどです。一方で、「脂肪腫だろう」と思って放置した中に、別の病気が隠れていることがあります。この記事では、脂肪腫の特徴と粉瘤との違い、放置してよい場合と手術を考える目安、注意が必要なしこりのサイン、保険での手術の流れと傷跡、受診の目安を解説します。なお、当院の皮膚外科・形成外科の手術は、形成外科専門医が担当しています。

脂肪腫とは|やわらかく動く、痛みのないしこり

脂肪腫は、皮膚の下(皮下脂肪の層)に成熟した脂肪細胞が増えて、薄い膜に包まれたかたまりを作ったものです。皮膚の良性腫瘍の中で最も多いものの一つで、40〜60代に多く、男女ともに起こります。

脂肪腫の典型的な特徴
  • やわらかい——ゴムやお餅のような弾力。押すと少しへこむ
  • よく動く——指でつまむと皮膚の下でつるんと動く。皮膚とくっついていない
  • 痛みがない——押しても痛くないことがほとんど(例外は後述)
  • ゆっくり大きくなる——数年単位でじわじわ。数cm〜10cm程度まで
  • 皮膚の表面は正常——赤みや開口部(黒い点)がない
  • 好発部位——背中・肩・首の後ろ・腕(特に上腕)・太もも・お尻

複数できる方もいます(多発性脂肪腫症)。家族に同じ体質の方がいることがあります。

なぜできるかははっきり分かっていません。「太っているからできる」わけではなく、やせている方にもできます。食事や生活習慣で小さくなることもありません。

脂肪腫の写真|背中のやわらかい盛り上がり

背中にできた脂肪腫です。皮膚の表面には赤みや開口部がなく、なだらかに盛り上がっているだけなので、鏡では気づきにくく「触ると何かある」と言って来院される方が多い部位です。

脂肪腫の写真:背中の皮膚の下になだらかな盛り上がりがある。表面に赤みや開口部はない
写真1 背中の脂肪腫。皮膚の色は正常で、なだらかな盛り上がりとして見えます。粉瘤のような中央の黒い点(開口部)はありません
脂肪腫の写真:背中の盛り上がりを近くから撮影。境界はなだらかで皮膚表面は正常
写真2 近くから見たところ。境界ははっきりせず、押すとやわらかく、指でつまむと皮膚の下で動きます

※写真は当院で診察した患者さんのもので、ご本人の同意を得たうえで、個人が特定されないように加工して掲載しています。大きさ・形・部位は人によって異なります。

粉瘤との違い・ほかのしこりとの見分け

皮膚の下のしこりで脂肪腫と間違えられやすいのが粉瘤(ふんりゅう・アテローム)です。見分けは診察で行いますが、参考になる特徴を挙げます。

脂肪腫粉瘤(アテローム)
できる場所皮膚の下の脂肪の層皮膚のすぐ下(皮膚とくっついている)
硬さやわらかいやや硬い〜ゴム状
表面正常。開口部なし中央に黒い点(開口部)があることが多い
炎症ほとんどない細菌が入ると急に赤く腫れて痛む・膿が出る
においなし内容物(垢)が出ると独特のにおい

粉瘤について詳しくは粉瘤の診療案内をご覧ください。このほか、首やわきのリンパ節の腫れ、ガングリオン(関節の近くの硬めのしこり)、神経の腫瘍などがあり、場所と硬さで見分けます。触診で判断がつかない場合はエコー(超音波)検査で中身を確認します。

注意が必要なしこり|急に大きい・硬い・深い・痛い

脂肪腫そのものは良性ですが、脂肪のしこりに見えて別の病気のことがあります。頻度はまれですが、脂肪組織の悪性腫瘍(脂肪肉腫)は太もも・お尻・体幹の深い場所にでき、初期は脂肪腫と区別がつきません。次のサインがあれば、「脂肪腫だろう」と様子を見ずに検査を受けてください。

検査(エコー・MRI)を検討するサイン
  • 直径5cmを超える、または数か月で急に大きくなった
  • 硬い、または深い場所にあって動きにくい(筋肉の中・筋肉の下)
  • 痛みがある(血管脂肪腫という良性の型でも痛むことがあるが、確認は必要)
  • 太もも・お尻・肩の深部のしこり
  • 表面の皮膚が赤い・硬い・ひきつれている

5cm以下でも、急に大きくなる、硬い・深い、以前取った場所に再びできた、診断がはっきりしないなどの場合は評価が必要です。大きさだけでは良性・悪性を決められません。

診察で脂肪腫以外の腫瘍が疑われる場合は、切除を決める前に必要な画像評価(超音波・MRI)や専門施設(大学病院・がん専門病院の軟部腫瘍外来)への紹介を先に行います。組織を調べる方法も、場所や腫瘍の性質を考えて計画します。当院で対応できない検査は、検査可能な施設をご案内します。評価で脂肪腫と判断できれば、経過観察や手術を落ち着いて選べます。

脂肪腫の手術|取る目安・保険適用・日帰り手術の流れ

取る必要があるか

診察などで良性の脂肪腫と判断され、症状や増大が問題にならない場合は、経過観察を選べることがあります。見た目や触った感じだけでは、脂肪腫とほかのしこりを見分けきれないため、まず診察を受けてください。一方、薬で小さくすることはできず、自然に消えることもないため、次のような場合は手術を検討します。

手術を考える目安
  • 大きくなってきて目立つ、服の上から分かる
  • ベルト・下着・カバンのひもに当たる、座ると当たる、動きに干渉する
  • 痛み・違和感がある
  • 診察で良性と考えられるが、取って病理検査で確認しておきたい(疑わしいしこりは、切除の前に画像評価・紹介を行います)
  • これ以上大きくなる前に、小さいうちに取っておきたい(大きいほど傷も大きくなります)

保険適用と手術の流れ

脂肪腫の切除は保険診療です。費用は「初診・術前の検査」「手術(大きさ・部位・深さで保険点数が異なります)」「病理検査」「再診・抜糸」に分かれ、負担割合によって変わります。診察で大きさ・部位を確認したうえで、内訳と3割負担の目安をご案内します。

  • 診察——触診(必要に応じて超音波検査)で大きさ・深さを確認し、日帰りで切除できるかを判断します。手術は診察とは別の日に日程を相談します。大きさ・部位・深さによっては、入院設備のある施設をご紹介します
  • 手術——局所麻酔など適切な麻酔を用い、皮膚を切開して脂肪腫を取り出し縫合します。方法と所要時間は病変の大きさ・深さ・部位に応じて事前に説明します。切開線は皮膚のしわに沿わせるなど目立ちにくい工夫をしますが、大きさは病変によります。麻酔の注射や術後に痛みが出ることがあり、痛みへの対応もご案内します
  • 病理検査——取った組織は病理検査に提出し、脂肪腫であることを確認します(検査の案内)。結果をお伝えする時期は診察時にご説明します
  • 術後——仕事の内容・運動・入浴の制限と抜糸の時期(部位により1〜2週間後が目安)は、手術の内容に応じて説明します。血液をさらさらにする薬を飲んでいる方は、自己判断で中止せず事前にお伝えください

当院の手術は形成外科専門医が担当します。体制・対応範囲は形成外科・皮膚外科の診療案内をご覧ください。血液をさらさらにする薬を飲んでいる方は、事前にお伝えください。

傷跡と手術後の経過

手術である以上、傷跡はゼロにはなりません。ただし、皮膚のしわ・体の線に沿って切開し、皮膚の下で丁寧に縫い合わせることで、時間とともに目立ちにくくなることが多いです。傷跡は術後1〜3か月ごろに赤く硬くなり、その後徐々に落ち着いていきますが、赤みや盛り上がりが長く続く場合もあり、経過は部位・深さ・体質などで異なります。

知っておいていただきたいこと
  • 背中・肩・胸の中央など、皮膚が引っ張られる部位は傷跡が赤く盛り上がりやすい(肥厚性瘢痕)ことがあります。テープ固定などで予防し、盛り上がった場合は治療します
  • 切除後に再発することは多くありませんが、組織が残る場合や病変の性質によっては再び大きくなることがあります。再発したしこりは診察で確認してください
  • 術後に血がたまる・感染することがまれにあり、腫れ・強い痛み・発熱があれば早めに連絡してください

受診の目安・急ぐ症状

受診の目安
  • 皮膚の下にやわらかいしこりがあり、脂肪腫か粉瘤か確かめたい
  • しこりが大きくなってきた、服や動きに当たる
  • 手術で取りたい、取るべきか相談したい
  • 複数のしこりがある

受診時は、いつから・大きさの変化・痛みの有無・血液をさらさらにする薬の有無をお伝えください。

早めに受診していただきたい症状(急ぐ症状)
  • 数か月で急に大きくなった、5cmを超える、硬い、深くて動かない、痛い——脂肪腫以外の病気の可能性。エコー等の検査を
  • しこりが急に赤く腫れて痛む・熱をもつ——炎症性粉瘤など別の病気の可能性。早めに処置を
  • しこりとともに、理由のない体重減少・発熱・寝汗がある

当院の保険診療は初診予約不要です。「取るかどうか決めていない」段階でも、診療時間・受付時間をご確認のうえご来院ください。

やわらかいしこり、「脂肪腫だろう」で終わらせずに一度確認を

初診は予約不要・保険診療

触診(必要に応じて超音波検査)で脂肪腫かどうかを確認し、経過観察でよいか、手術が勧められるかをご説明します。手術は形成外科専門医が担当し、日帰りで対応できる範囲をご案内します。

TEL03-3413-6600 公式LINEはこちら 診療時間・行き方を確認する(アクセスページ)

保険診療の初診は予約不要です。受付は診察終了の15分前までです。検査や処置の内容によっては、別日の実施や専門施設へのご紹介が必要な場合があります。

駒沢大学駅直結平日 19時まで土曜 17時まで初診予約不要
月・火・水・金 9:30〜12:00 / 15:00〜19:00
土 9:30〜12:00 / 14:00〜17:00
木・日・祝 休診
〒154-0011 東京都世田谷区上馬3-18-11 エルフレア駒沢3F

よくある質問

脂肪腫は放置しても大丈夫ですか?
診察などで良性の脂肪腫と判断され、症状や増大が問題にならなければ、経過観察を選べることがあります。見た目や触った感じだけでは脂肪腫とほかのしこりを見分けきれないため、自己判断で放置せず一度診察を受けてください。脂肪腫は自然に消えることはなく、ゆっくり大きくなります。数か月で急に大きくなった、5cmを超える、硬い、深くて動かない、痛いといった場合は、脂肪腫以外の病気の可能性があるため検査を受けてください。5cm以下でも、急に大きくなる・硬い・深い場合は評価が必要です。
脂肪腫と粉瘤はどう違いますか?
脂肪腫は皮膚の下の脂肪の層にできるやわらかいしこりで、皮膚とくっついておらず、表面は正常です。粉瘤は皮膚のすぐ下にできてやや硬く、中央に黒い点(開口部)があることが多く、細菌が入ると急に赤く腫れて痛みます。触診で分かりにくい場合はエコーで確認します。
脂肪腫の手術は保険が使えますか?費用はどのくらいですか?
脂肪腫の切除は保険診療です。費用は初診・術前検査、手術(大きさ・部位・深さで保険点数が異なります)、病理検査、再診・抜糸に分かれ、負担割合で変わります。診察で確認したうえで内訳と目安をご案内します。
脂肪腫の手術は痛いですか?日帰りでできますか?
局所麻酔など適切な麻酔を用い、手術中の強い痛みは抑えられますが、麻酔の注射や術後に痛みが出ることがあり、対応をご案内します。所要時間は大きさ・深さ・部位で異なり、事前に説明します。日帰りの場合は当日帰宅できます。大きさ・部位・深さによっては日帰りが難しい場合があり、その際は入院設備のある施設をご紹介します。日帰りで対応できるかは診察で判断します。
脂肪腫は取らないと悪性になりますか?
脂肪腫が悪性に変わることは基本的にありません。ただし、最初から脂肪肉腫という別の病気だったものが「脂肪腫」と思われていることがまれにあります。急に大きくなる・硬い・深い・痛いしこりは、5cm以下でも切除を決める前に画像評価や専門施設での評価が必要です。良性と考えて切除した場合も、取った組織は病理検査で確認します。
脂肪腫の手術の傷跡は残りますか?
傷跡はゼロにはなりませんが、皮膚のしわや体の線に沿って切開し、皮膚の下で丁寧に縫合することで、時間とともに目立ちにくくなることが多いですが、赤みや盛り上がりが長く続く場合もあり、経過は部位・深さ・体質で異なります。背中や肩など皮膚が引っ張られる部位は盛り上がりやすいため、術後のテープ固定などで予防します。手術を急ぐべきかも含めて診察でご相談ください。

参考資料

監修医師情報
駒沢皮膚科クリニック院長 清水顕医師
清水 顕(しみず あきら)
駒沢皮膚科クリニック 院長/医学博士
医療法人社団 誠清会 理事長
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

経歴
  • 山梨医科大学医学部(現・山梨大学医学部)卒業 / 同大学皮膚科学教室 入局
  • 同大学 救急部麻酔科にて全身管理を研修
  • がん研究会がん研究所 生化学部にて皮膚がんの発生メカニズムを研究(国内留学)
  • スウェーデン・ルードヴィック癌研究所 研究員(国際共同研究)
  • 山梨医科大学 皮膚科 助手・医局長 歴任
  • 2003年11月 駒沢皮膚科クリニック 開院(開業20年以上)

専門分野

皮膚がん・アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・ニキビ・ニキビ跡・アレルギー性皮膚疾患・美容皮膚科


資格・所属学会
  • 医学博士
  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 日本皮膚科学会 会員
  • 日本臨床皮膚科学会 会員
  • 日本アレルギー学会 会員
  • 日本美容皮膚科学会 会員

研究業績
  • 「血小板由来成長因子(PDGF)のシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により文部科学省 科学研究費助成(平成13〜14年度)
  • 「隆起性皮膚線維肉腫におけるPDGFのシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により日本皮膚科学会 基礎医学研究費(資生堂寄付)授与(平成14年度)

担当医師より

脂肪腫は「良性だから放っておいていい」と言われることが多く、実際その通りの場合がほとんどです。ただ私が必ず確認するのは、大きさ・硬さ・深さ・増大の速さの4点です。この4点に引っかかるしこりは、脂肪腫に見えても検査をしてから判断します。取ると決めた場合は、形成外科専門医が傷跡に配慮した方法で手術を行い、取ったものは病理検査で確認します。まずお気軽にご来院ください。

本コラムは皮膚科専門医が監修しています。個別の症状・治療方針については、必ず医師の診察を受けた上でご自身でお決めください。(医療広告ガイドライン準拠)

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