男性型脱毛症

AGAとは、Androgenetic Alopeciaの略で「男性型脱毛症」という意味です。 AGAの脱毛部にはDHT（ジホドロテストステロン）が高濃度にみられ、これが薄毛の原因物質と考えられいます。 DHT（ジホドロテストステロン）は5a-還元酵素という酵素によってテストステロンから作られます。 この度従来のプロペシア、フィナステリドに加えて新規治療薬ザガーロが登場しました。

AGA（男性型脱毛症）の治療方法

AGA治療と経過

■厳選した成分を配合

■頭皮にやさしい処方

【使用方法】

プロペシアとは

男性型脱毛症（以下AGA）の治療薬として知られているのがプロペシアです。内服薬としてMSD社が開発し、販売をしています。発売当初、AGA治療の救世主的な内服薬として脚光を浴び、世界60ヵ国以上で承認されています。現在では特許が満了しているので、数多くのジェネリックが製造・販売されています。

フィナステリドがプロペシアの有効成分として知られていて、日本皮膚科学会でも男性向け、女性向けの脱毛症診療において、推奨度Aという最高ランクの判定を得ています。プロペシア登場以来、数多くの治療実績があり、発売当初から現在に至るまで、AGAに対してもっとも有効な治療方法となっています。

以下、プロペシアの効果、さらには副作用、そしてジェネリックについて説明します。

プロペシアの効果

AGAに効果が期待されるフィナステリドを有効成分としているのがプロペシアの大きな特徴です。

男性ホルモンのテストステロンは、5αリダクターゼという還元酵素によりジヒドロテストステロン（以下DHT）という男性ホルモンに変化します。 このDHTが出来てしまうと、ヘアサイクルに大きく影響を与えてしまいます。その最たるものが、ヘアサイクルの中の毛髪の成長期を縮めてしまうのです。 これによって、髪の毛がしっかり伸びきらない（成長しない）うちに抜け落ちてしまいます。AGAの初期症状として抜け毛が増えたというのは、DHTが作用している状態が考えられます。

プロペシアの有効製粉であるフィナステリドは、5αリダクターゼの働きを抑制することで、DHTの発生を防ぎます。この働きが結果として脱毛を防ぎ、毛髪の本来の成長を助けることになります。

プロペシアを服用した患者さんの多くに、抜け毛が減った、髪の毛が太くなった、ボリューム感が増した、という声が見られます。
ただし、患者さんの求めるのは発毛効果なのですが、プロペシアを含めてAGAの治療薬は、ヘアサイクルを本来の形に戻すお薬であるという認識を持った方がいいでしょう。

プロペシアの用法・用量

プロペシアの服用方法は以下の通りです。

• ・1日1錠（成分量は0.2mgと1mgの2通りですが、成分量を問わず1錠/1日となります）
• ・毎日同時間の服用（血中濃度を常に一定にするため、24時間ごとの服用が望ましいです）
• ・食事に影響されません（食前食後は関係なし）
• ・服用を忘れた場合、時間に関係無く1日1錠を守る。忘れたからといって2錠/日にしない。

プロペシアは半減期が3～4時間と比較的短い医薬品です。そうなると何錠でも飲みたくなりますが、1錠/日でも十分な効果が認められています。
※半減期：薬の成分が体内に吸収されて、血中濃度が半分に減少するまでの時間

医師からも説明がありますが、大事なことは最低でも半年から1年の継続服用をするということです。 これは、ヘアサイクルの中の毛が抜けてから生えるまでの、期間が3ヵ月ということに起因しています。

また、プロペシアを服用してはいけない人は以下の通りです。

• ・成分に対して機銃歴のある人
• ・妊娠中あるいは授乳中の女性
• ・肝機能の数値が悪い人、肝臓に疾患のある人
• ・高齢者

※AGA（男性型脱毛症）の治療薬なので女性は基本的に服用不可です。

※前立腺がんの検査を受ける場合、プロペシアの服用を担当医師に伝えてください。これは、薬理作用によって血清前立腺特異抗原（PSA）の濃度が半減するためです。

プロペシアの副作用

プロペシアの副作用には食欲減退、全身倦怠感(肝機能障害)、副作用性欲減退、勃起機能不全、乳房障害、抑うつ症状などが数例報告されています。
副作用は服用してすぐに現れるものと、長期的に服用して現れるものがあります。体調にもよって変わってくるので、異変を感じた場合は医師にご相談ください。
プロペシアの服用は成人男性のみに限られ、女性や未成年者は服用できません。
また、妊娠中の女性については胎児に影響を及ぼすことがあるので服用しないでください。

フィナステリドとは

男性型脱毛症（以下AGA）の治療に有効な成分です。このフィナステリドの他に「ミノキシジル」が広く知られています。ミノキシジルは主に、頭皮下にある毛根細胞に作用し、それを活性化させることで発毛を助ける効果があります。
一方、ここで紹介するフィナステリドは、毛髪の発育を弱らせ、さらに抜け毛の原因となる男性ホルモンの働きを抑制させることで、薄毛の進行を防ぐ効果が期待できます。

錠剤（飲み薬）としての「フィナステリド錠」は、日本で最初に発売となった「プロペシア」と同様の成分が配合されています。
※フィナステリドはプロペシアのジェネリック薬品です。

フィナステリドが国内で承認を得たのは2015年のことです。それをきっかけとして、現在ではさまざまな医薬品メーカーがフィナステリド錠を発売しています。それまで、AGAの治療としてさまざまな治療薬を長期間服用してきた患者さまにとって、ジェネリック医薬品であるフィナステリドの登場は、治療費を軽減できることで患者さんにとっては朗報となりました。

特にAGAの治療は終わりというものがなく、服用し続けなければいけません。長期間（あるいは永遠）の服用を覚悟しなければいけないという意味でも、安価で服用できるフィナステリド錠の登場は、このうえなく嬉しいものとなりました。

フィナステリドの効果

フィナステリドは元々AGA治療薬として開発された薬品ではありません。フィナステリドは「プロスカー」と呼ばれる薬に含まれている成分です。
このプロスカーというのは、良性前立腺肥大の治療及び緩和に使用されていました。そして、たまたまプロスカーを服用していた人に、発毛効果という副作用が認められたことで、注目を集めることとなりました。

その注目の成分がフィナステリドであり、その後AGAの治療薬として開発が進められることとなりました。そして、AGAの治療薬として米国食品医薬局(FDA)から許可が下りたのが1997年のことです。 以後、発毛剤として世界中で販売されることとなりました。

AGAの原因とされているのが、「ジヒドロテストステロン(DHT)」というホルモンです（以下DHT）。
これは、男性ホルモンであるテストステロンと、還元酵素の5αリダクターゼ結びつくことで生成されます。通常の男性ホルモンは体毛を濃くする作用があるのにたいし、ジヒドロテストステロン(DHT)は、発毛を妨げ、毛髪の成長を抑制する働きがあるのです。
DHTが大量に生成されてしまうと、ヘアサイクルにおいて髪の成長期が極端に短くなってしまいます。そのため、通常では時間をかけて太い毛髪が生成されるところ、毛髪が成長しきる前に抜け落ちてしまいます。

このように、十分に育たない細く短い髪が増えてしまうと、全体的に薄毛が目立つということになってしまうのです。これが一般的に言われるAGAの症状です。

フィナステリドはAGAの原因となるDHTの生成を抑制します。それは、DHT生成の元となる還元酵素の5αリダクターゼの作用を防ぐことによるものです。
そのため、乱れたヘアサイクルを正常に戻し、さらに頭皮環境を整えることで抜け毛を防ぐ効果があります。

フィナステリドによる発毛効果には個人差があります。
それは、患者さまの体質や薄毛の進行状況によって異なるものです。患者さまによっては服用後2，3ヵ月で効果が現われる場合もあれば、6ヵ月程度かかる場合があります。 また、まったく発毛効果が見られない場合もあり、そのときは他のAGA治療薬を勧めています。

そして、発毛効果が認められたからといって、服用をやめると、元の状態に逆戻りしてしまいます。フィナステリドを含めてAGA治療薬は服用し続けることで、その効果が期待できます。 また、飲み続けたとしても身体に耐性ができて、効き目が悪くなることもないので、安心して服用し続けることができます。

フィナステリドの副作用について

フィナステリドの副作用については、肝機能障害、さらに性欲減退などが報告されています。
とはいっても、臨床検査においても長期投与期間中における発現率は1.1％となっています。そのため、比較的安全な薬であるといってよいでしょう。

注意点としては、副作用は服用してすぐに現われるものと、長期的に服用して現われるものがあります。体調によっても変わってくるので、異変を感じた場合は専門医に相談してください。

フィナステリドの服用は成人男性のみに限られます。女性や未成年は服用できません。妊娠中の女性については胎児に影響を及ぼすことがあるので、服用しないようにしてください。

ザガーロの作用機序とヘアサイクルへの影響

ザガーロによるヘアサイクルへの影響

ザガーロは、テストステロンをDHTへ変換する1型および2型の5α還元酵素をともに阻害し、DHT濃度を低下させることでヘアサイクルの正常化を促し、毛髪数を増加させる。

デュタステリドとは

デュタステリドは男性型脱毛症（AGA）の治療薬の成分として知られています。
AGAの治療薬としては比較的新しく、厚生労働省より製造販売の承認を取得し、2016年6月より発売開始となりました。

5αリダクターゼという還元酵素が髪の成長を阻害し、AGAの原因となることが広く知られています。 デュタステリドは、5αリアクターゼの1型、2型の両方の働きを阻害し、髪の成長を正常な状態に近づける効果が期待できます。

デュタステリドの効果

AGAの大きな特徴として、DHT（ジヒドロテストステロン）の働きが大きく関与していることが知られています。DHTはAGAの発生要因といわれる物質なのですが、髪の正常なヘアサイクルでは、成長期が2年から6年とされているのですが、この成長期がAGAでは数ヵ月から1年と大きく短縮されているのです。

この成長期の短縮要因がDHTなのです。
DHTは男性ホルモンであるテストステロンが変換された物質であり、その変換を助けるのが5αリアクターゼの1型、2型なのです。

デュタステリドは、このDHTの濃度を低下させる働きがあり、AGAによる髪の成長期を正常な状態に近づけます。デュタステリドと同じような働きをする物質にフィナステリドやプロペシアが知られていますが、デュタステリドはそれらよりも後発である利点を活かして、DHTの抑制効果をより強く発揮します。

抑制による発毛効果は、フィナステリドの1.6倍、さらに毛髪の太さは1.45倍というデータが出ているのも後発ならではといっていいでしょう。

デュタステリドの用法・用量

デュタステリドは成人男性に処方されます。食事による制限や影響はありません。当院では1日1錠（0.5mg）の服用をお勧めしています。

後発治療薬ですので、それ以前はフィナステリドを服用していたという患者さんも少なくありません。フィナステリドからデュタステリドに変更することによって、AGAに対するさらなる効果が期待できます。もちろん個人差はありますが、数多くの臨床試験によって実証されています。そして、どのAGA治療薬においても同様なのですが、服用を始めた場合6ヵ月以上の服用をお勧めしています。これは、髪の毛が抜けて同じ毛根から生えてくるのが3ヵ月から6ヵ月というヘアサイクルに起因しています。

また、デュタステリドの効果を高めようとして、1日に決められた1錠以上を服用しても効果が増幅することはないので、その点に注意が必要です。

デュタステリド内服中の注意事項

• ・1日1錠といった、医師からの決められた服用指示に従ってください。
  それ以上の服用をしても効果の上積みは期待できません。また、服用が1日抜けたからといって、翌日に2錠の服用はお勧めできません。
• ・女性と子どもは服用できません。
  特に妊娠中の女性については、男性胎児の生殖器官等の発達について影響が出る可能性があります。
  ※子ども（未成年）についてはデュタステリドの臨床試験を行っておりません。よって、安全性と有効性が確立できていません
• ・1カプセルはそのまま水と共に飲み込んで胃に送り込みます。
  カプセルはそのまま水と共に飲み込んで胃に送り込みます。噛んでしまうとカプセル内の内容物が口や喉の粘膜に付着して影響が出る場合（刺激）があります。
• ・デュタステリドの服用中において、前立腺がんの検査をすると腫瘍マーカーのPSA値を約50％減少させてしまいます。
  そのため、健康診断時にはデュタステリドを服用していることを自己申告してください。
  ※自己申告することで測定したPSA値を倍に値が評価値として用いられます。
• ・デュタステリド服用中あるいは服用を止めて6ヵ月間の献血はしないようにしてください。