皮膚に異常がないのにかゆい|皮膚掻痒症の原因と検査

皮膚科専門医 監修コラム

皮膚に異常がないのにかゆい|
皮膚掻痒症の原因と検査・受診の目安

専門医監修 保険診療対応 駒沢皮膚科クリニック|駒沢大学駅直結
公開日:2026年11月11日 / 最終更新日:2026年11月11日
駒沢皮膚科クリニック院長 清水顕医師
監修:清水 顕(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/医学博士) 医療法人社団 誠清会 駒沢皮膚科クリニック 院長
一般皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科(医師紹介)
この記事の結論
  • 発疹がないのにかゆい状態を皮膚掻痒症といいます。最も多い原因は加齢・乾燥によるバリア低下ですが、診察で発疹の有無を確かめることが先です
  • 腎臓・肝臓・甲状腺・糖尿病・鉄欠乏・血液の病気・薬が原因のことがあり、診察の結果に応じて血液検査を選びます。検査が正常でも経過を見ます
  • 体重減少・発熱・寝汗・リンパ節の腫れ・黄疸を伴う、眠れないほど強い、妊娠中に続くかゆみは、セルフケアで待たずに相談を

「体じゅうがかゆいのに、見ても何もできていない」「保湿しているのに夜になるとかゆくて眠れない」「かゆみ止めを飲んでも効かない」——発疹がないのにかゆいという相談は、皮膚科で毎日のように受けます。多くは乾燥や加齢による皮膚の変化が原因ですが、中には体の内側の病気がかゆみとして現れていることがあります。

この記事では、皮膚掻痒症の原因、皮膚科で行う検査と「検査で分かること・分からないこと」、治療と日常の対策、急いで受診すべきサインを皮膚科専門医が解説します。湿疹・蕁麻疹・硬いブツブツなど発疹を伴うかゆみは別の病気として診察します(本文中で該当ページをご案内します)。

すぐに受診していただきたい症状:かゆみに加えて、理由のない体重減少・発熱・寝汗・首やわきのリンパ節の腫れ・白目や皮膚が黄色い(黄疸)がある場合は、早めに医療機関を受診してください。 詳しくは受診の目安・急ぐ症状をご覧ください。

皮膚掻痒症とは|発疹なしのかゆみと、発疹ありのかゆみの違い

皮膚掻痒症は、皮膚に湿疹やじんましんなどの発疹がないのに、かゆみだけがある状態です。全身がかゆい「汎発性」と、背中や陰部など一部だけがかゆい「限局性」があります。掻いた跡(ひっかき傷・かさぶた・色素沈着)はあっても、かゆみの元になる発疹がないのが特徴です。

まず大切なのは、発疹を伴うかゆみとの区別です。見た目で判断しにくいこともあるため、診察で確認します。

かゆみの種類特徴詳しくは
皮膚掻痒症(この記事)発疹がなく、かゆみだけ。掻き傷はある——
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最も多い原因|加齢・乾燥によるかゆみ(皮脂欠乏)

発疹のないかゆみで最も多いのは、皮膚の水分と皮脂が減ってバリア機能が落ち、わずかな刺激でかゆみを感じやすくなる状態です。高齢の方に多く、冬・入浴後・布団に入って温まったときに強くなります。進行すると白い粉をふいたような乾燥や、ひび割れ・赤みが出て「皮脂欠乏性湿疹」になります(皮脂欠乏性湿疹の診療案内)。

乾燥によるかゆみを疑う手がかり
  • すね・腰まわり・背中など、皮脂の少ない部位から始まる(すねのかゆみにむくみや茶色い色素沈着を伴う場合はうっ滞性皮膚炎のことがあります)
  • 秋〜冬に悪化し、夏は軽い
  • 熱い湯・長風呂・ナイロンタオルでこすった後に強くなる
  • 保湿を続けると数週間で軽くなる

ただし、「高齢だから乾燥のせい」と決めつけると、次に挙げる内側の病気を見逃します。保湿などで改善しない・繰り返す、夏でもかゆい、全身が同じように強くかゆい、睡眠や生活に支障がある場合は、期間にかかわらず皮膚科で相談してください。黄疸・発熱・理由のない体重減少があれば早めに受診を。軽い乾燥のかゆみなら、保湿を2〜4週間続けて再評価するのが一つの目安です。

体の内側の病気によるかゆみ|腎臓・肝臓・甲状腺・糖尿病・血液・薬

全身性のかゆみの一部は、皮膚以外の病気が原因です。頻度は乾燥によるものよりずっと低いですが、かゆみが最初のサインになることがあるため、皮膚科で確認する意味があります。

原因手がかりになること
慢性腎臓病特に透析を受けている方。全身または背中・腕の強いかゆみ。むくみ、尿の異常
肝臓・胆道の病気(胆汁うっ滞)手のひら・足の裏から始まるかゆみ、白目や皮膚が黄色い、尿が濃い、便が白っぽい。妊娠中に発疹のない強いかゆみ(特に手のひら・足の裏)が続く場合は、妊娠週数にかかわらず産科へ早めに相談
甲状腺の病気機能亢進(暑がり・動悸・体重減少・汗)でも機能低下(寒がり・むくみ・乾燥・だるさ)でも起こる
糖尿病のどの渇き・多尿・体重減少。皮膚の感染症(カンジダ・水虫)を繰り返す
鉄欠乏貧血がなくても鉄が不足するとかゆみが出ることがある。月経のある女性に多い
血液の病気(真性多血症・悪性リンパ腫など)入浴後に強くなるかゆみ、理由のない体重減少・発熱・寝汗、首やわきのしこり。頻度は低いが見逃してはいけない原因
薬一部の痛み止め・医療用麻薬、降圧薬、脂質の薬、抗菌薬など。飲み始めた時期とかゆみの時期が重なる
神経の問題背中の一部、腕の外側など、決まった場所だけがかゆい(帯状疱疹の後、頸椎や腰椎の変化)
心理的な要因ストレスや不眠でかゆみが増幅される。ただし、ほかの原因を調べたうえで考える

がんが原因のかゆみは頻度としては低く、「かゆい=がん」ではありません。ただし、体重減少・発熱・寝汗・リンパ節の腫れを伴うかゆみは、頻度にかかわらず早めの検査が必要です。

皮膚科で行う検査|血液検査で分かること・分からないこと

診察ではまず、本当に発疹がないか(薄い湿疹や疥癬を見落としていないか)を全身の皮膚で確認し、かゆみの部位・時間帯・季節・飲んでいる薬・体調の変化を伺います。そのうえで、必要に応じて血液検査を行います。

診察の結果に応じて選ぶ主な血液検査

全員に一式を行うのではなく、診察で疑われる原因に応じて必要な項目を選びます。

  • 血算——貧血、血液の病気の手がかり
  • 肝機能・腎機能——肝臓・胆道・腎臓の異常

院内で採血し、結果は後日お伝えします。甲状腺・糖尿病・鉄欠乏などが疑われる場合は、内科での評価(甲状腺ホルモン・血糖・フェリチンなど)をご案内します。

知っておいていただきたいこと
  • 血液検査で原因がすべて分かるわけではありません。検査が正常でもかゆみが続くことは珍しくなく、その場合は乾燥・神経・心理的要因を含めて、経過を見ながら対策を組み立てます
  • 検査で異常が見つかった場合は、内科など該当する診療科をご紹介し、原因の病気の治療と並行して皮膚科でかゆみの治療を続けます
  • 画像検査(エコー・CT)が必要な場合は、連携する医療機関をご案内します

治療と日常の対策|保湿・内服・原因の治療

皮膚科で検討する主な対応(保険診療)
  • 保湿——原因が何であれ基本です。入浴後は肌が乾き切る前を目安に、かゆい部位だけでなく体全体に。塗る量が足りない方が多いため、量と回数を診察で確認します
  • 抗ヒスタミン薬の内服——じんましんほどは効きにくいことがありますが、夜のかゆみや掻き壊しを減らす目的で使います。眠気の少ない種類を選びます
  • 外用薬——掻き壊して湿疹になった部分にはステロイド外用薬を、かゆみの強い部位には鎮痒作用のある外用薬を検討します
  • 原因の病気の治療——腎臓・肝臓・甲状腺などの異常があれば、その治療がかゆみの改善につながります。薬が原因の場合は処方医と相談して変更を検討します(自己判断で中止しないでください)
  • 難治の場合——原因によって薬の効き方が異なります。病態に応じて別の治療や専門診療を検討します。実施の可否・適応・費用は診察でご説明します

※薬の種類・使用期間は診察のうえ決めます。実際の塗り方・量・期間は処方医の指示が優先します。

日常の対策
  • 湯温は40℃以下、長風呂を避ける。石けんは泡立てて手で洗い、ナイロンタオルでこすらない
  • 部屋の湿度を保つ(冬は加湿器)。電気毛布・こたつで体を温めすぎない
  • 下着は綿など刺激の少ない素材に。ウールの直接着用を避ける
  • 爪を短く切る。掻きたいときは冷たいタオルを当てる(掻くとかゆみが増す悪循環を断つ)
  • アルコール・香辛料・カフェインでかゆみが強くなる方は控えめに

受診の目安・急ぐ症状

受診の目安
  • 発疹がないのにかゆみが2週間以上続く、保湿しても改善しない
  • 夜眠れないほどかゆい、掻き壊して傷になっている
  • 夏でもかゆい、全身が同じように強くかゆい
  • 新しく飲み始めた薬がある
  • 腎臓・肝臓・甲状腺・糖尿病の持病があり、かゆみが出てきた

受診時は、お薬手帳、健康診断の結果(直近のもの)、使っている保湿剤・石けんをお伝えいただくと診察がスムーズです。

早めに受診していただきたい症状(急ぐ症状)
  • 理由のない体重減少・発熱・寝汗・首やわきのリンパ節の腫れを伴うかゆみ——血液の病気などの可能性。早めに血液検査を
  • 白目や皮膚が黄色い、尿が濃い茶色、便が白っぽい——肝臓・胆道の病気の可能性。内科・消化器内科へ
  • 妊娠中の、発疹のない強いかゆみ(特に手のひら・足の裏)——妊娠週数にかかわらず産科へ早めに相談。多くは別の原因ですが、産科で確認が必要な病気があります
  • 全身の強いかゆみが数週間続き、原因が分からない

当院の保険診療は初診予約不要です。「乾燥のせいだと思うけれど確かめたい」という段階でも、診療時間・受付時間をご確認のうえご来院ください。

「何もできていないのにかゆい」は、調べる価値があります

初診は予約不要・保険診療

全身の皮膚を確認して発疹の有無を見極め、必要に応じて血液検査で内側の原因を探します。かゆむ部位・始まった時期・薬の一覧・これまでの検査結果をお持ちください。原因が見つからなくても、かゆみを軽くする治療と対策を一緒に組み立てます。

TEL03-3413-6600 公式LINEはこちら 診療時間・行き方を確認する(アクセスページ)

保険診療の初診は予約不要です。受付は診察終了の15分前までです。検査や処置の内容によっては、別日の実施や専門施設へのご紹介が必要な場合があります。

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木・日・祝 休診
〒154-0011 東京都世田谷区上馬3-18-11 エルフレア駒沢3F

よくある質問

発疹がないのにかゆいのはなぜですか?
最も多いのは加齢や乾燥で皮膚のバリア機能が落ち、わずかな刺激でかゆみを感じやすくなる状態です。一方で、腎臓・肝臓・甲状腺の病気、糖尿病、鉄欠乏、血液の病気、薬が原因で全身がかゆくなることがあります。保湿などで改善しない・繰り返す、夏でもかゆい、睡眠に支障がある場合は、期間にかかわらず皮膚科で相談してください。診察の結果に応じて血液検査で手がかりを探します。
皮膚掻痒症は何科を受診すればよいですか?
まず皮膚科で構いません。本当に発疹がないか(薄い湿疹や疥癬を見落としていないか)を全身の皮膚で確認し、必要に応じて血液検査を行います。腎臓・肝臓・甲状腺などの異常が見つかれば内科をご紹介し、並行して皮膚科でかゆみの治療を続けます。黄疸がある場合は内科・消化器内科を先に受診してください。
かゆみの血液検査では何を調べますか?
皮膚科では血算(貧血・血液の病気)と肝機能・腎機能を中心に検討します。院内で採血し、結果は後日お伝えします。甲状腺・糖尿病・鉄欠乏が疑われる場合は内科での検査をご案内します。ただし、血液検査で原因がすべて分かるわけではなく、検査が正常でもかゆみが続くことは珍しくありません。その場合は乾燥・神経・心理的要因を含めて経過を見ながら対策します。
かゆみはがんのサインですか?
かゆみだけで、がんと判断することはできません。がんが原因のかゆみは頻度としては低いものです。ただし、理由のない体重減少・発熱・寝汗・首やわきのリンパ節の腫れを伴う場合は早めに相談してください。必要な検査は診察で選び、結果が正常でも症状が続く場合は経過を確認します。
かゆみ止め(抗ヒスタミン薬)を飲んでも効きません。
発疹のないかゆみは、じんましんに比べて抗ヒスタミン薬が効きにくいことがあります。保湿の量と回数を見直し、原因の病気がないか血液検査で確認したうえで、鎮痒作用のある外用薬や、難治の場合は病態に応じた別の治療・専門診療を検討します。自己判断で市販薬を増やす前に診察を受けてください。
お風呂に入るとかゆくなります。どうすればよいですか?
湯温を40℃以下にし、長風呂を避け、ナイロンタオルでこすらず泡で手洗いしてください。入浴後は肌が乾き切る前を目安に保湿を続けてください。それでも入浴後に全身が強くかゆい状態が続く場合は、まれに血液の病気などが背景にあることがあるため、皮膚科で相談してください。

参考資料

監修医師情報
駒沢皮膚科クリニック院長 清水顕医師
清水 顕(しみず あきら)
駒沢皮膚科クリニック 院長/医学博士
医療法人社団 誠清会 理事長
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

経歴
  • 山梨医科大学医学部(現・山梨大学医学部)卒業 / 同大学皮膚科学教室 入局
  • 同大学 救急部麻酔科にて全身管理を研修
  • がん研究会がん研究所 生化学部にて皮膚がんの発生メカニズムを研究(国内留学)
  • スウェーデン・ルードヴィック癌研究所 研究員(国際共同研究)
  • 山梨医科大学 皮膚科 助手・医局長 歴任
  • 2003年11月 駒沢皮膚科クリニック 開院(開業20年以上)

専門分野

皮膚がん・アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・ニキビ・ニキビ跡・アレルギー性皮膚疾患・美容皮膚科


資格・所属学会
  • 医学博士
  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 日本皮膚科学会 会員
  • 日本臨床皮膚科学会 会員
  • 日本アレルギー学会 会員
  • 日本美容皮膚科学会 会員

研究業績
  • 「血小板由来成長因子(PDGF)のシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により文部科学省 科学研究費助成(平成13〜14年度)
  • 「隆起性皮膚線維肉腫におけるPDGFのシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により日本皮膚科学会 基礎医学研究費(資生堂寄付)授与(平成14年度)

担当医師より

「見ても何もないのにかゆい」という方の大半は、乾燥と加齢による皮膚の変化で、保湿の量を増やすだけで楽になります。ただ、その中に腎臓や甲状腺、鉄欠乏、ごくまれに血液の病気が隠れていて、かゆみが最初のサインだったということがあります。だからこそ、保湿で改善しないかゆみは診察のうえで血液検査を検討します。検査が正常でもすべての原因を除外できるわけではなく、皮膚の変化・使っている薬・かゆむ部位や時間帯・その後の経過を見直し、症状が続けば追加の評価や他科への相談を考えます。まずお気軽にご来院ください。

本コラムは皮膚科専門医が監修しています。個別の症状・治療方針については、必ず医師の診察を受けた上でご自身でお決めください。(医療広告ガイドライン準拠)

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