脂腺増殖症
脂腺増殖症(皮脂腺増殖症)とは|おでこ・鼻の黄色い盛り上がりの原因と治療法
「おでこや鼻に、ニキビのような黄色っぽい盛り上がりができた」「何年も同じ場所にあって、つぶれもしないし消えもしない」「イボコロリを塗ってみたけれど変わらない」——それは脂腺増殖症(しせんぞうしょくしょう)かもしれません。皮脂腺増殖症と表記されることもあります。
皮脂腺の小葉が増えて生じる良性の過形成で、ニキビとよく間違われます。ただしニキビとは経過がまったく異なり、自然に小さくなることはありません。このページでは、脂腺増殖症の見た目・原因・市販薬が効かない理由・皮膚科での治療法、そして皮膚がんとの見分けで注意すべき点を皮膚科専門医が解説します。
- 脂腺増殖症とは何か(読み方・見た目・できる部位)
- ニキビとの決定的な違い
- なぜできるのか(原因)
- 市販薬・塗り薬・イボコロリが効かない理由
- 皮膚科での治療法・費用・ダウンタイム
- 皮膚がん(基底細胞癌)との鑑別で注意すべき点
脂腺増殖症とは(読み方・見た目・できる部位)
脂腺増殖症は「しせんぞうしょくしょう」と読みます。皮脂腺の小葉が増えて生じる良性の過形成で、皮脂腺増殖症とも呼ばれます。悪性化することはありません(腫瘍性の「脂腺腫」とは別の病変です)。

※当院を受診された患者さんの症例です。掲載にあたり患者さんのご同意を得ています。掲載症例は一例であり、症状の現れ方には個人差があります。
- 大きさ——1〜5mm程度。1つのこともあれば複数できることもあります
- 色——黄色〜オレンジがかった色調が典型的です。皮脂腺の色が透けて見えています。大きくなった病変では肌色〜淡紅色に見えることもあります
- 形——ドーム状に盛り上がり、中央がへそのようにわずかにくぼむのが典型的です
- 症状——痛み・かゆみはありません
- できやすい部位——おでこ・鼻などのTゾーンが中心。頬・こめかみ・まぶたにも生じます
- 経過——長く残ることが多く、徐々に目立つ場合があります
- なりやすい方——20歳以降に生じはじめ、中年期以降に多くみられます。オイリー肌の方、男性に多い傾向がありますが、診断の決め手にはなりません
診察でみられる見え方の例(症例写真)
脂腺増殖症は、できる部位と大きさによって見え方がかなり変わります。以下は治療前後の比較ではなく、診察時にみられる見え方の例です。当院で撮影し、皮膚科専門医が診断を確認しています。

2〜3mm程度の淡い黄白色の丘疹が散在しています。この大きさではニキビ跡や毛穴の目立ちと区別がつきにくく、「治らないニキビ」として長く放置されがちです。

ここまで大きくなると表面が分葉状(いくつかの小さなふくらみが集まった形)になり、色調も肌色〜淡紅色に見えることがあります。この見え方では、他の皮膚腫瘍との鑑別がより重要になります。
※いずれも当院を受診された患者さんの症例です。掲載にあたり患者さんのご同意を得ています。掲載症例は一例であり、同様の経過を保証するものではありません。
ニキビとの違い
脂腺増殖症で最も多い誤解が「治らないニキビ」というものです。両者は原因も経過もまったく異なります。
| 脂腺増殖症 | ニキビ(尋常性ざ瘡) | |
|---|---|---|
| 正体 | 皮脂腺そのものが増殖した良性腫瘍 | 毛穴に皮脂が詰まり、炎症を起こしたもの |
| 色 | 黄色〜オレンジ色 | 白・赤(炎症すると赤くなる) |
| 経過 | 長く残ることが多い。徐々に目立つ場合がある | 多くは数日〜数週間で消退する |
| 痛み | なし | 炎症すると痛みを伴う |
| つぶすと | 芯や膿は出ない | 皮脂や膿が出ることがある |
| 治療 | 炭酸ガスレーザーなどで物理的に除去 | 外用薬・内服薬 |
短期間で急に大きくなる、出血する、潰瘍になる場合は、脂腺増殖症と自己判断せず診察を受けてください。
脂腺増殖症ができる原因
毛の根元は毛包という組織に包まれており、その脇に皮脂をつくる皮脂腺がつながっています。この皮脂腺の小葉が増えたものが脂腺増殖症です。加齢やアンドロゲンなどとの関連が考えられていますが、個々の病変の原因を一つに特定できるわけではありません。
- ① 加齢
- 年齢とともに皮脂腺は増える傾向があります。中年期以降に目立ちはじめる方が多いのはこのためです。
- ② 男性ホルモンの働き
- 皮脂腺は男性ホルモンの影響を受けます。20歳前後の比較的若い方でも、ホルモンの働き具合によって皮脂腺が増殖することがあります。男性に多い傾向があるのもこの背景があります。
- ③ 皮脂分泌の多い肌質
- もともと皮脂分泌が活発なオイリー肌の方に起こりやすい傾向があります。ただし洗顔不足やスキンケアの誤りが原因ではありません。
市販薬・塗り薬・イボコロリは効くのか
「脂腺増殖症 塗り薬」「脂腺増殖症 市販薬」「脂腺増殖症 イボコロリ」といった検索が非常に多い病変です。市販のニキビ薬・角質ケア・イボ用薬は脂腺増殖症の標準治療ではなく、病変の消失は期待しにくいと考えられます。
脂腺増殖症は皮膚の表面に何かが付着しているのではなく、真皮のなかで皮脂腺の小葉が増えている状態です。表面に塗る薬剤で消失させる根拠はありません。
医学文献には、全身性レチノイド(イソトレチノイン等)の内服により病変数が減少したとする報告があります。ただし中止後に再発することが報告されており、副作用の管理も必要な治療です。当院で脂腺増殖症に対して採用している治療ではありませんが、「薬は一切効かない」という説明は正確ではないため付記します。
- イボコロリなどの角質軟化薬(サリチル酸製剤)——脂腺増殖症に対する効果は確立していません。顔面への使用は想定されておらず、正常な皮膚の炎症、色素変化、陥凹性瘢痕などを生じるおそれがあります。目や鼻の近くでは特に危険です
- 市販のニキビ治療薬——脂腺増殖症は炎症でも細菌感染でもないため、殺菌成分や抗炎症成分による改善は期待しにくいと考えられます
- 皮脂を抑えるスキンケア・毛穴パック・あぶらとり紙——皮脂の分泌量を減らすことで病変が消失する根拠はありません
- 爪や指でつぶす——芯や膿はありません。押し出せる内容物がないため、周囲に炎症と色素沈着を残すだけに終わります
- ハトムギ・ヨクイニン——ウイルス性のイボに用いられることがありますが、脂腺増殖症はウイルス性ではないため効果は見込めません
脂腺増殖症の患者さんで、私が最も注意を促しているのがサリチル酸製剤の顔面使用です。「イボだと思って市販薬を貼っていたら、まわりの皮膚が白くふやけて痛くなった」というご相談は、決して珍しくありません。
これらの薬は手足の硬い角質を溶かすために設計されています。顔の皮膚は手足に比べてはるかに薄く、しかも脂腺増殖症の本体は薬が届かない深さにあります。病変は残り、健康な皮膚だけがダメージを受ける——これが実際に起きていることです。一度陥凹した傷あとができると、脂腺増殖症そのものを取るよりも修復が難しくなります。使う前に一度、それが本当にイボなのかを確かめにいらしてください。
皮膚科での治療法・費用・ダウンタイム
当院では、良性と診断し治療をご希望される場合に、炭酸ガス(CO2)レーザーを検討します。病変数・大きさ・部位によって、複数回、残存、再発、切除への変更などがあり得ます。
- 治療方法
- 局所麻酔を行ったうえで、レーザーで病変を蒸散させます。病変の深さ・部位により、複数回に分ける場合や、切除・病理検査のほうが適する場合があります。
- アフターケア
- 小さいガーゼや保護テープ(創傷被覆材)で覆います。治療後1週間から10日ほど内出血が起こる場合がありますが、多くは自然に軽快します。
- ダウンタイム
- 脂腺増殖症は、通常のイボの治療よりも赤みが長く続くことが多い病変です。また深い部分の治療となりやすいため、傷あとが残るリスクも相対的に高くなります。この点をご了承いただいたうえで治療を行います。
- 費用の区分
- 見た目の改善を目的とした治療は自費診療となります。当院では、脂腺増殖症はイボ・ホクロと同一の大きさ別の料金で治療しています。
当院の料金
| 病変の大きさ | 費用(税込・1個あたり) |
|---|---|
| 〜3mm | 11,000円 |
| 3〜5mm | 22,000円 |
| 5〜10mm | 33,000円 |
| 10〜15mm | 44,000円 |
| 15mm以上 | 55,000円 |
同日に2個以上治療する場合、2個目以降は各半額の料金設定です。脂腺増殖症は複数できることが多いため、まとめて処置するほうが費用を抑えられます。
また、頬・おでこに広く多発している場合は、部位ごとの取り放題(片側55,000円・両側98,000円/税込)をご案内できることがあります。適用の可否は診察時にご説明します。
※費用は目安です。大きさ・個数・部位により変動し、改定により変更となる場合があります。最新の金額は診察時にご確認ください。
痛み・熱感、赤み・腫れ、出血・内出血、感染、傷の治りの遅れ、炎症後色素沈着、色素脱失、陥凹(へこみ)、萎縮性瘢痕・肥厚性瘢痕、病変の残存・再発。目のまわりの病変では眼球や角膜への損傷のリスクがあり、位置と使用機器に応じた眼保護を行います。診察時にリスクをご説明したうえで治療を行います。
似たできものとの違い(鑑別で注意する所見)
脂腺増殖症は良性ですが、見た目が似た病変のなかに注意が必要なものが含まれます。下表は自己診断のための表ではなく、診察が必要な理由を示すものです。
| 特徴 | 脂腺増殖症との違い | |
|---|---|---|
| 脂腺増殖症 | 黄〜オレンジ色。中央がくぼむ。1〜5mm | — |
| 稗粒腫 | 白く硬い1〜2mmの粒 | 色が白く、より小さい。圧出法で処置できる |
| 汗管腫 | 肌色で平たい。多発する | 色が肌色で、中央のくぼみがない |
| 眼瞼黄色腫 | まぶたの黄色く平たい隆起。数mm〜数cm | より大きく平坦。脂質異常症が関与することがある |
| ニキビ | 赤みや痛みを伴い、数日〜数週で消える | 脂腺増殖症は消えない |
| 基底細胞癌 | 光沢のある盛り上がり。細い血管が透けて見える。中央がくぼむことがある | 見た目が似ることがあり、診察・必要に応じて生検で鑑別します |
炭酸ガスレーザーで蒸散した組織は、原則として病理検査用の組織として残りません。そのため当院では、悪性が疑われる病変や診断が確定できない病変にはレーザーを行わず、生検または切除をご案内します。診察やダーモスコピー等を補助に判断し、確定できない場合は病理検査を検討します。
脂腺増殖症は何科?受診の目安
脂腺増殖症の診断・治療は皮膚科で行います。当院では皮膚科専門医(院長・医学博士)が診断と治療方針の判断を行い、外科的な処置が必要な場合には、去川俊二教授をはじめとする複数の日本形成外科学会認定 形成外科専門医が担当・執刀する体制をとっています。
- 同じ場所のニキビのようなものが何か月も消えない
- 市販薬やニキビ治療薬を試したが変化がない
- イボ用の市販薬を使おうか迷っている
- だんだん大きくなってきた
- 皮膚がんではないか気になる
診察のみ・お見積りのみのご来院も可能です。脂腺増殖症は急いで治療すべき病気ではありませんが、正体を確かめることには意味があります。
消えないニキビのようなできもの、正体を確かめてください
予約不要・駒沢大学駅直結。診察のみのご来院も可能です。
市販薬を使う前に一度ご相談ください。脂腺増殖症は市販薬では治らず、顔面での角質軟化薬の使用は傷あとの原因になります。
📞 03-3413-6600 💬 公式LINE土 9:30〜12:00 / 14:00〜17:00
木・日・祝 休診
〒154-0011 東京都世田谷区上馬3-18-11 エルフレア駒沢3F
※初診・ご相談は予約不要です。処置は、診断結果・病変数・部位・麻酔・混雑状況により別日となる場合があります。
よくある質問

医療法人社団 誠清会 理事長
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
一般皮膚科、皮膚腫瘍(できもの)の診断と治療、美容皮膚科、アレルギー疾患
- 医学博士
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会 会員
- 日本臨床皮膚科学会 会員
- 日本アレルギー学会 会員
- 日本美容皮膚科学会 会員
- PDGF(血小板由来増殖因子)に関する研究(文部科学省 科学研究費補助金)
- 隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)に関する研究(日本皮膚科学会 基礎医学研究費〈資生堂寄付〉)
脂腺増殖症は、「治らないニキビ」として何年も市販薬を使い続けてこられる方が多い病変です。ニキビ薬も、イボ用の角質軟化薬も、皮脂を抑えるスキンケアも、病変を消失させる根拠はありません。増えているのは皮脂の量ではなく、皮脂腺の小葉そのものだからです。
もうひとつお伝えしたいのは、顔面が日光を長年浴び続ける、皮膚悪性腫瘍の好発部位でもあるということです。黄白色で中央がくぼむという脂腺増殖症の見た目は、基底細胞癌と紛らわしいことがあります。市販薬を続けて何か月も観察が遅れる状況は避けたいと考えています。診察で確定できない場合は生検・病理検査を検討しますので、迷ったら一度お見せください。
ご相談・アクセス
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