シングリックスとは?効果・副作用・デメリット・生ワクチンとの違いを専門医が解説

皮膚科専門医 監修コラム

シングリックス(帯状疱疹ワクチン)とは?
効果・副作用・生ワクチンとの違いを解説

帯状疱疹予防 2種類から選択可 接種は要予約 駒沢大学駅直結|日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
公開日:2026年7月8日
駒沢皮膚科クリニック院長 清水顕医師
監修:清水 顕(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医) 医療法人社団 誠清会 駒沢皮膚科クリニック 院長
一般皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科
📌 まず知っておきたい3つのこと
  • シングリックスは帯状疱疹を予防する不活化(組換え)ワクチン。発症予防効果は50歳以上で約97%と報告されています
  • 効果が高い一方、注射部位の痛みや発熱などの副反応が出やすく、2回接種で費用も高めというデメリットがあります
  • 2025年から定期接種の対象ワクチンになり、対象年齢の方は自己負担を抑えて接種できます

「帯状疱疹のワクチンを勧められたけれど、シングリックスって何?」「副作用がつらいと聞いて迷っている」「生ワクチンとどちらを選べばいいの?」——2025年に帯状疱疹ワクチンが定期接種になって以来、外来でこうしたご質問が急増しています。

この記事では、シングリックスの仕組み・効果・副作用(副反応)・デメリット・生ワクチンとの違いを、皮膚科専門医が正直に解説します。

シングリックス(帯状疱疹ワクチン)とは

シングリックスは、帯状疱疹を予防するためのワクチンです。ウイルスの表面タンパク質を遺伝子組換え技術で作った「不活化(組換え)ワクチン」で、生きたウイルスを含みません。日本では2020年から使われており、2025年4月からは65歳以上などを対象とした定期接種のワクチンのひとつになりました。

帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が体内の神経に潜み続け、加齢・疲労・ストレスなどによる免疫力の低下をきっかけに再活性化して起こる病気です。日本人成人の多くがこのウイルスを持っており、50歳を過ぎると発症が増えます。ワクチンは、この「ウイルスを抑え込む免疫」を接種によって強化し、発症と重症化のリスクを下げるためのものです。

シングリックスの効果|どのくらい防げる?何年もつ?

シングリックスの臨床試験では、帯状疱疹の発症予防効果は50歳以上で約97%と報告されています。また、帯状疱疹のあとに痛みが長く残る合併症「帯状疱疹後神経痛」に対しても、約89%の予防効果が報告されています。

効果の持続については、接種後9〜10年以上にわたり高い効果が続くことが追跡調査で報告されています。現時点で追加接種(3回目)は推奨されておらず、2回の接種で完了です。

※本記事の効果の数値は、国内外の臨床試験の報告に基づく代表値です。いずれのワクチンも、効果は接種後の年数とともに徐々に低下していきます。

⚠️ ワクチンで「完全に防げる」わけではありません

高い効果が報告されているワクチンですが、接種しても帯状疱疹を発症することはあります。ただしその場合でも、症状が軽く済むこと・帯状疱疹後神経痛に移行しにくいことが期待できます。接種後に体の片側のピリピリした痛みや発疹に気づいたら、早めに皮膚科を受診してください(当院の帯状疱疹の診療案内)。

シングリックスの副作用(副反応)|どんな症状がいつまで?

シングリックスは、体に強い免疫を作らせるぶん、副反応が比較的出やすいワクチンです。臨床試験では、接種後7日間に次のような症状が報告されています。

症状 報告された頻度
注射した部位の痛み 70%以上
注射部位の赤み、筋肉痛、疲労感(だるさ) 30%以上
頭痛、注射部位の腫れ、悪寒、発熱、胃腸症状 10%以上

※添付文書・厚生労働省資料に基づく頻度区分です。

これらの多くは3日程度、長くても1週間以内に自然に軽快します。「腕が上がりにくいほど痛かった」「翌日は熱っぽくて仕事を休んだ」という方も実際にいらっしゃるため、接種の翌日に大事な予定を入れないことをおすすめします。つらい場合は患部を軽く冷やす、医師に相談のうえ解熱鎮痛薬を使うなどの対処ができます。

まれに、じんましん・呼吸苦などの強いアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こることがあります。また、頻度は不明ですが、重大な副反応としてショックや、ギラン・バレー症候群(手足に力が入りにくくなる神経の病気)の報告があります。接種後は院内で短時間様子を見ていただき、帰宅後も気になる症状が出た場合は接種した医療機関にご連絡ください。1週間を超えて症状が続く場合・悪化する場合も、我慢せずご相談ください。

シングリックスのデメリット|接種前に知っておくべきこと

効果の高さばかりが紹介されがちなワクチンですが、接種を決める前に知っておくべきデメリットもあります。当院では以下を必ずご説明しています。

  • 副反応が出やすい——上の表のとおり、注射部位の痛みはほとんどの方に、発熱・だるさも一定の割合で起こります
  • 2回の接種が必要——1回では十分な効果が得られず、2ヶ月あけて2回目を打つ必要があります(通院2回)
  • 費用が高め——自費の場合は2回で4万円台。ただし定期接種・世田谷区の助成を使うと負担を大きく抑えられます
  • 接種しても発症の可能性はゼロにならない——予防効果は高いものの、完全ではありません

これらのデメリットを踏まえてもなお、帯状疱疹後神経痛のつらさ・治療の長さを考えると、接種を検討する価値のあるワクチンだと考えていますが、最終的には効果・負担・費用を天秤にかけたご本人の判断です。迷う場合は診察でご相談ください。

生ワクチンとの違い|どちらを選ぶ?

帯状疱疹ワクチンにはもう1種類、「生ワクチン(水痘ワクチン)」があります。主な違いは次のとおりです。

シングリックス 生ワクチン
接種回数 2回(筋肉注射) 1回(皮下注射)
発症予防効果 50歳以上で約97% 60歳以上で約51%
神経痛の予防 約89% 約66%
効果の持続 9〜10年以上の報告 年数とともに低下
副反応 出やすい(痛み・発熱など) 比較的軽い
免疫が低下している方 選択肢となる場合があります(可否は医師が判断) 接種できません
費用 高め(2回) 抑えめ(1回)

大まかには、効果の高さ・持続を重視するならシングリックス、費用と体への負担の軽さ・1回で済むことを重視するなら生ワクチンが目安です。ステロイドや免疫抑制剤で治療中の方・免疫が低下している方は生ワクチンを接種できないため、シングリックスが選択肢になります。持病や服用中の薬によって適否が変わるため、どちらにするか迷ったら診察でご相談ください。当院では両方を取り扱っており、比較したうえで選べます。

シングリックスは何歳から接種できる?

シングリックスを接種できるのは、50歳以上の方、および帯状疱疹にかかるリスクが高いと考えられる18歳以上の方(病気や治療により免疫機能が低下している方・低下する可能性がある方など)です。

「まだ50代だから早い」と思われる方も多いのですが、帯状疱疹の発症は50代から明確に増えます。また、世田谷区では50〜64歳の方も費用助成を使って接種できる制度があり(期限あり)、定期接種の年齢を待たずに接種を始められます。制度の詳細・費用は帯状疱疹ワクチンのご案内にまとめています。

接種間隔・スケジュール

シングリックスは、1回目から2ヶ月あけて2回目を接種します。何らかの事情で2ヶ月後に接種できない場合も、遅くとも6ヶ月以内に2回目を受けることとされています(免疫の状態などにより、医師の判断で間隔を1ヶ月まで短縮する場合があります)。

💡 2回目が遅れてしまったら?

6ヶ月を過ぎてしまった場合も、一般に1回目からやり直す必要はないとされています。気づいた時点で早めにご相談ください。なお、定期接種で受ける方は年度内に2回を完了する必要があるため、1回目を年度の1月31日までに接種しておくことが大切です。

インフルエンザワクチンなど他のワクチンとの同時接種・接種間隔については、シングリックスは不活化ワクチンのため、医師が必要と認めた場合に同時接種や間隔を空けない接種が可能です。予定がある方は予約時にお伝えください。

接種できない人・注意が必要な人

  • 明らかに発熱している方(37.5度以上)・重い急性疾患にかかっている方は、当日の接種を延期します
  • シングリックスの成分で強いアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こしたことがある方は接種できません
  • 抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を服用中の方は、筋肉注射に際して注意が必要です。予診時に必ずお伝えください
  • 妊娠中・授乳中の方、持病のある方は、接種の可否・時期を診察でご相談ください

まとめ

  • シングリックスは発症予防約97%・神経痛予防約89%と報告される、効果の高い帯状疱疹ワクチン
  • 一方で、注射部位の痛み・発熱などの副反応が出やすく、2回接種・費用高めというデメリットも正直にある
  • 免疫が低下している方に選択肢となり得るのはシングリックスのみ(可否は医師が判断)。生ワクチンとの違いを踏まえて診察で相談を
  • 接種間隔は2ヶ月(遅くとも6ヶ月以内)。定期接種は1回目の期限に注意
  • 50〜64歳も世田谷区の助成で負担を抑えて接種可能。詳細は当院のワクチン案内ページへ

「自分はどちらを打つべき?」——診察でご相談いただけます

ワクチン接種は予約制です。お電話でご予約ください。

持病・服用中の薬・費用を踏まえて、皮膚科専門医がご一緒に検討します。迷っている段階のご相談でも大丈夫です。費用・世田谷区の制度・予約方法は帯状疱疹ワクチンのご案内にまとめています。

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よくある質問

シングリックスの副作用はいつまで続きますか?
注射部位の痛み・腫れ、発熱・だるさなどの副反応の多くは3日程度、長くても1週間以内に自然に軽快します。つらい場合は冷却や、医師に相談のうえ解熱鎮痛薬で対処できます。1週間を超えて続く場合や悪化する場合は、接種した医療機関にご相談ください。
シングリックスは打った方がいいですか?
帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛のリスクを下げたい50歳以上の方にとって、検討する価値のあるワクチンです。一方で副反応・2回接種・費用というデメリットもあるため、一律に「全員打つべき」とは言えません。年齢・持病・費用を踏まえた個別の判断が必要ですので、診察でご相談ください。
帯状疱疹にかかったことがあってもシングリックスを打てますか?
接種できます。帯状疱疹は再発することがあるため、再発予防を目的とした接種が可能です。かかった直後は免疫が高まっているため、接種時期は診察でご相談ください。
シングリックスは何年おきに追加接種が必要ですか?
現時点では、2回の接種を完了したあとの追加接種(3回目)は推奨されていません。9〜10年以上効果が持続するという報告があり、長期のデータは現在も蓄積が続いています。今後の知見によって推奨が変わる可能性はあります。
インフルエンザワクチンと同時に接種できますか?
シングリックスは不活化ワクチンのため、医師が必要と認めた場合、インフルエンザワクチンなど他のワクチンとの同時接種や、間隔を空けない接種が可能です。接種の予定・履歴がある方は、予約時にお伝えください。
シングリックスの2回目が6ヶ月を過ぎた場合はどうなりますか?
一般に、1回目からやり直す必要はないとされています。気づいた時点で早めに接種医療機関にご相談ください。ただし、定期接種として受けている方は年度内に2回を完了する必要があるため、期限を過ぎた分は任意接種(自己負担)となる場合があります。
シングリックスは副反応が強いと聞きますが、仕事は休むべきですか?
個人差がありますが、接種の翌日に発熱やだるさで仕事を休んだという方も一部いらっしゃいます。多くは2〜3日で軽快しますので、接種の翌日に大事な会議や力仕事などの予定を入れないようにしておくと無難です。
シングリックスと生ワクチンで迷ったらどう選べばよいですか?
予防効果と持続の高さを重視するならシングリックス、1回で済むことと費用・体への負担の軽さを重視するなら生ワクチンが大まかな目安です。免疫を抑える治療中の方は生ワクチンを接種できないなど、体の状態で選択肢が変わるため、持病・服用中の薬を踏まえて診察でご相談ください。
この記事の監修医師
駒沢皮膚科クリニック院長 清水顕医師
清水 顕(しみず あきら)
駒沢皮膚科クリニック 院長
医療法人社団 誠清会 理事長
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

経歴
  • 山梨医科大学医学部(現・山梨大学医学部)卒業 / 同大学皮膚科入局
  • 同附属病院 救急科麻酔部にて全身管理を習得(研修医時代)
  • がん研究会がん研究所 生化学部 国内留学(皮膚がん発生メカニズム研究)
  • スウェーデン・ルードヴィック癌研究所 留学(国際共同研究)
  • 山梨医科大学附属病院 皮膚科 医局長 歴任
  • 2003年 駒沢皮膚科クリニック 開業(開業20年以上)

専門分野

皮膚がん・アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・ニキビ・ニキビ跡・アレルギー性皮膚疾患・美容皮膚科


資格・所属学会
  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 日本皮膚科学会 会員
  • 日本臨床皮膚科学会 会員
  • 日本アレルギー学会 会員
  • 日本美容皮膚科学会 会員

監修医師よりコメント

「シングリックスは副作用がきついと聞いたのですが、本当ですか」——外来で最も多いご質問です。正直にお答えすると、注射部位の痛みや翌日のだるさは確かに出やすいワクチンです。それでも私が接種の検討をお勧めするのは、帯状疱疹後神経痛で夜も眠れないほどの痛みが何ヶ月も続く患者さんを、皮膚科医として数え切れないほど診てきたからです。数日の副反応と、数ヶ月続きうる神経痛。どちらのリスクを取るかを、正確な情報をもとにご自身で選んでいただきたいのです。迷っている段階で構いません。診察でご相談ください。

本記事は情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を行うものではありません。効果・副反応には個人差があります。接種の可否・時期については、必ず医師の診察を受けた上でご自身でお決めください。(医療広告ガイドライン準拠)

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