ひょう疽・爪囲炎とは|手の爪の周りが腫れる・膿むときの対処

皮膚科専門医 監修コラム

ひょう疽・爪囲炎とは|
手の爪の周りが腫れる・膿むときの対処

専門医監修 保険診療対応 駒沢皮膚科クリニック|駒沢大学駅直結
公開日:2026年11月11日 / 最終更新日:2026年11月11日
駒沢皮膚科クリニック院長 清水顕医師
監修:清水 顕(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/医学博士) 医療法人社団 誠清会 駒沢皮膚科クリニック 院長
一般皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科(医師紹介)
この記事の結論
  • ひょう疽(ひょうそ)・爪囲炎は、手の指の爪の周りが赤く腫れ、ずきずき痛み、膿がたまる状態。ささくれ・深爪・甘皮処理・水仕事がきっかけです
  • 急性(細菌性)・慢性(刺激・炎症が中心)・ヘルペス性があり治療が異なります。ヘルペス性は切開してはいけません
  • 自分で針を刺さない・膿や水ぶくれを潰さないでください。排膿が必要かは医療機関で判断します。指先が白・紫色で冷たい、感覚が鈍い場合は救急へ

「ささくれをむしった翌日から、指先が赤く腫れてずきずきする」「爪の横が膿んで、触ると飛び上がるほど痛い」「水仕事をするようになってから、爪の根元がずっと赤く腫れている」——手の指の爪の周りの腫れ・痛み・膿は、ひょう疽(ひょうそ・瘭疽)または爪囲炎(そういえん)と呼ばれる状態です。

多くは細菌の感染ですが、同じように見えてヘルペスウイルスによるものや、水仕事などの刺激で慢性的に続くものがあり、対処が異なります。特にヘルペス性を細菌性と思って切開すると悪化します。この記事では、3つのタイプの見分け方、やってはいけない自己処置、皮膚科での治療、受診の目安を皮膚科専門医が解説します。なお、足の爪の横の腫れは陥入爪(巻き爪)に伴うこともあります。原因は診察で確認し、爪の食い込みの対処は巻き爪が痛いときのコラムをご覧ください。

ひょう疽・爪囲炎とは|爪の周りの感染

爪の周りの皮膚(爪郭・そうかく)や爪の根元の甘皮は、爪と皮膚のすき間を守るバリアです。ここに小さな傷ができて細菌などが入り込むと、赤く腫れて熱をもち、脈打つような痛みが出ます。進むと皮膚の下に膿がたまり、白〜黄色く透けて見えるようになります。

「爪囲炎」は爪の周りの炎症全般、「ひょう疽(瘭疽)」は指先の化膿した状態を指す言葉で、日常的にはほぼ同じ意味で使われます。この記事では主に手の爪の周りの腫れを扱います。指先の腹(指の先の膨らみ)が強く腫れて痛む場合は、爪の周りより深い感染の可能性もあるため、早めに受診してください。足の爪の横の腫れは陥入爪に伴うこともあり、原因は診察で確認します。

急性爪囲炎の写真|赤み・腫れと膿のたまり

手の指に起きた急性爪囲炎(ひょう疽)です。爪の根元から横にかけて赤く腫れ、爪のきわに黄緑色の膿が透けて見えています。この段階では、膿を出す処置と抗菌薬で早く楽になります。

急性爪囲炎(ひょう疽)の写真:指の爪の根元が赤く腫れ、爪のきわに黄緑色の膿が透けて見える
写真1 爪の根元から片側にかけて赤く腫れ、爪のきわに膿(黄緑色)がたまっています。脈打つような痛みを伴う典型的な急性爪囲炎です
急性爪囲炎の写真(拡大):爪の横の皮膚の下に黄緑色の膿がたまり、周囲が赤く腫れている
写真2 拡大したところ。膿は皮膚の下にたまっているため、自分で針などで潰さず、医療機関で出してもらってください

※写真は当院で診察した患者さんのもので、ご本人(保護者)の同意を得たうえで、個人が特定されないように加工して掲載しています。腫れの範囲や膿の見え方は人によって異なります。

3つのタイプ|急性爪囲炎・慢性爪囲炎・ヘルペス性ひょう疽の違い

見た目が似ていても原因が違えば治療が変わります。特にヘルペス性は切開すると悪化するため、診察で見分けることが重要です。

急性爪囲炎(細菌性)——最も多い

項目特徴
原因黄色ブドウ球菌などの細菌が、ささくれや深爪の傷から入る
経過傷の後1〜3日で急に赤く腫れ、ずきずき痛む。進むと膿がたまり白〜黄色く透ける
なりやすい人ささくれをむしる・深爪・甘皮処理・爪を噛む癖
治療の方向膿があれば医療機関で排膿、必要に応じて抗菌薬

慢性爪囲炎(刺激・炎症が中心。カンジダなどが関わることも)

項目特徴
原因水仕事・洗剤・消毒の繰り返しで皮膚のバリアが落ち、爪の根元に慢性的な炎症が続く。カンジダ(真菌)などの感染が関わる場合もある
経過数週間〜数か月、じわじわ赤く腫れて甘皮がなくなる。痛みは軽く、爪に横すじや変形が出ることも
なりやすい人水仕事・調理・美容師・保育士、糖尿病の方。手湿疹を合併していることも多い
治療の方向水や洗剤の刺激を減らし手袋・保湿で保護。必要に応じて炎症を抑える外用薬。感染が関わる場合はその治療も検討

ヘルペス性ひょう疽

項目特徴
原因単純ヘルペスウイルス(口唇ヘルペスと同じウイルス)
経過ぴりぴり・ちくちくした痛みの後に小さな水ぶくれが集まって出る。膿ではなく透明〜白濁した液。繰り返すことがある
なりやすい人口唇ヘルペスのある方、指しゃぶりをする子ども、医療・介護職
治療の方向切開しない。診察で確認し、必要に応じて抗ウイルス薬。患部を覆い、他人や自分の目に触れない

ヘルペス性ひょう疽は繰り返すことがあります。口唇ヘルペスについては口唇ヘルペスのコラムをご覧ください。

原因ときっかけ|ささくれ・深爪・甘皮処理・水仕事

よくあるきっかけ
  • ささくれをむしる——最も多いきっかけ。小さな傷から細菌が入ります
  • 深爪・爪の角を丸く切り込む——爪の端が皮膚に食い込み、傷になります
  • 甘皮の処理(ネイルケア)——甘皮はバリアです。押し上げたり切ったりすると、爪の根元から菌が入りやすくなります
  • 爪を噛む・指しゃぶり——唾液と傷で細菌・ヘルペスが入ります
  • 水仕事・洗剤・アルコール消毒の繰り返し——皮膚がふやけてバリアが落ち、慢性爪囲炎の原因になります(カンジダなどが関わることもあります)
  • ジェルネイル・つけ爪——爪と皮膚のすき間に水分がたまる。グリーンネイル(緑膿菌)を合併することもあります。ジェルの成分によるかぶれで爪の周りが赤くなる場合はジェルネイルアレルギーのコラムをご覧ください

糖尿病の方、免疫を抑える薬を使っている方は、感染が広がりやすく治りにくいため、軽い腫れでも早めに受診してください。

やってはいけないこと|自分で針で潰さない

自己処置で悪化する例
  • 針や爪切りで膿を出す——針を消毒したかどうかにかかわらず、自分で刺したり切ったり、膿や水ぶくれを強く押し出したりしないでください。感染が奥(腱や骨)に広がることがあります。排膿が必要かは医療機関で判断します
  • 水ぶくれを潰す——ヘルペス性だった場合、ウイルスが周囲に広がり、ほかの指や目に移ることがあります
  • 市販の化膿止め・抗生物質入り軟膏だけで様子を見る——膿がたまっている状態では、塗り薬だけでは治りません。ヘルペス性や慢性爪囲炎には効きません
  • 強く揉む・熱い湯に長時間つける・膿を押し出す——悪化することがあります。軽い急性爪囲炎では温浴を用いる場合もありますが、強い痛みや膿があるときは自己処置を続けず受診を。慢性の場合は水濡れと刺激を減らすことが大切です

受診までにできることは、指を心臓より高くして安静にし、清潔な絆創膏やガーゼで保護することです。水仕事は手袋を使ってください。

治療|排膿・抗菌薬・外用薬(タイプ別)と市販薬の限界

市販薬だけでよい?

膿がまだない軽い赤みなら、保護と安静で様子を見られることがあります。膿が見える・ずきずき痛む・赤みが広がる場合は、市販薬で数日待たずに受診してください。軽い症状でも悪化したら再評価を。

皮膚科で検討する主な対応(保険診療)
  • 細菌性・膿がたまっている——腫れや痛みの原因を確認し、必要な治療や処置(排膿)を判断します。排膿後は痛みが和らぐことが多く、範囲や深さによって抗菌薬の内服を併用します。処置の可否・方法は診察で判断し、深い感染などが疑われる場合は専門施設をご案内します
  • 細菌性・膿がまだない——抗菌薬の外用または内服と、安静・保護で経過を見ます。膿がたまってきたら切開に切り替えます
  • ヘルペス性——診察で確認し、必要に応じて抗ウイルス薬を検討します。切開はしません。患部を覆い、他人や自分の目に触れないようにしてください。口唇ヘルペスとの関係や再発についてはヘルペスの治療のコラムも参考になりますが、指の病変への薬の使い方は診察で決めます
  • 慢性爪囲炎——水や洗剤などの刺激を減らし、手袋や保湿で爪の周囲を保護することが中心です。必要に応じて炎症を抑える外用薬を使い、真菌などの感染が関わる場合はその治療も検討します。治るまで数週間〜数か月かかり、甘皮が再生すれば再発しにくくなります。1本の指だけ長引く・通常と違う見た目の場合は再評価します
  • 爪の下に膿が回っている・爪が浮いている——爪の一部を除去して排膿することがあります。慢性爪囲炎で爪が浮いたままになる場合は爪甲剥離症のコラムも参考になります

※薬の種類・使用期間は診察のうえ決めます。実際の塗り方・量・期間は処方医の指示が優先します。感染が指全体に広がっている、関節や腱に及んでいる疑いがある場合は、手の外科・形成外科をご紹介します。

再発予防|爪の切り方と手の保護

繰り返さないために
  • 爪はまっすぐ、角を残して切る(スクエアオフ)。深爪にしない。切り方は巻き爪にならない爪の切り方と同じです
  • ささくれは切る——むしらず、清潔な爪切りやニッパーで根元から切る
  • 甘皮は押し上げない・切らない——ネイルケアで甘皮処理をしている方は中止を
  • 水仕事は手袋——内側に綿手袋を重ねると蒸れにくい。洗剤・消毒の後は保湿
  • 手指の保湿——ひび割れ・ささくれを防ぎます。ハンドクリームを水仕事のたびに
  • 爪を噛む癖・指しゃぶりへの対策

受診の目安・急ぐ症状

受診の目安
  • 爪の周りが赤く腫れて、ずきずき痛む
  • 膿が白〜黄色く透けて見える(切開で楽になります)
  • 小さな水ぶくれが集まって出た(ヘルペス性の可能性。切開しないために診察を)
  • 爪の根元の赤い腫れが数週間続いている(慢性爪囲炎)
  • 糖尿病・免疫を抑える薬を使っている方の爪の周りの腫れ

受診時は、いつから・きっかけ(ささくれ・ネイル・水仕事)・口唇ヘルペスの既往・使った薬をお伝えください。

早めに受診していただきたい症状(急ぐ症状)
  • 赤みや腫れが急に指の付け根・手の甲へ広がる、指全体が腫れて動かしにくい、強い痛み・発熱——感染が深部や腱に及んでいる可能性。当日中に評価を(夜間は救急外来、手の外科・整形外科が必要なことがあります)
  • 指先が白〜紫色で冷たい、感覚が鈍い——血流障害の可能性。診療時間を待たず救急の医療機関へ
  • 水ぶくれが目の周りに広がった——ヘルペスが目に及ぶと危険です
  • 糖尿病の方の指の腫れが急に悪化した

当院の保険診療は初診予約不要です。「膿んでいるかどうか分からない」段階でも、診療時間・受付時間をご確認のうえご来院ください。

膿んだ指は、自分で潰さずにご来院ください

初診は予約不要・保険診療

急性・慢性・ヘルペス性を見分け、必要な処置と薬をご案内します。始まった日、きっかけ(ささくれ・ネイル・水仕事)、使った薬をお伝えください。ずきずきする痛みは我慢せず早めに。

TEL03-3413-6600 公式LINEはこちら 診療時間・行き方を確認する(アクセスページ)

保険診療の初診は予約不要です。受付は診察終了の15分前までです。検査や処置の内容によっては、別日の実施や専門施設へのご紹介が必要な場合があります。

駒沢大学駅直結平日 19時まで土曜 17時まで初診予約不要
月・火・水・金 9:30〜12:00 / 15:00〜19:00
土 9:30〜12:00 / 14:00〜17:00
木・日・祝 休診
〒154-0011 東京都世田谷区上馬3-18-11 エルフレア駒沢3F

よくある質問

ひょう疽は自然に治りますか?
ごく軽い腫れなら安静と保護で治まることもありますが、膿がたまった状態では自然には治りにくく、放置すると感染が爪の下や深部に広がることがあります。膿が見える・ずきずき痛む場合は、医療機関で排膿が必要かを判断します。ヘルペス性は診察で確認したうえで抗ウイルス薬を検討します。
ひょう疽の膿は自分で出してもよいですか?
お勧めしません。針を消毒したかどうかにかかわらず、自分で刺したり膿を押し出したりすると感染が腱や骨に広がることがあり、ヘルペス性だった場合は水ぶくれを潰すことでウイルスが周囲や目に広がります。指を高くして保護し、排膿が必要かは医療機関で判断してもらってください。
ひょう疽は何科を受診すればよいですか?
皮膚科で診察・処置ができます。急性・慢性・ヘルペス性の見分け、必要に応じた排膿、抗菌薬・抗ウイルス薬などの処方を行います。赤みが急に指の付け根や手の甲に広がる、指全体が腫れて動かしにくい、発熱がある場合は、感染が深部に及んでいる可能性があるため、当日中に受診し、必要に応じて手の外科・形成外科をご紹介します。
ひょう疽に市販の化膿止め軟膏は効きますか?
膿がまだたまっていないごく初期の細菌性には補助になることがありますが、膿がたまった状態では塗り薬だけでは治りません。ヘルペス性や慢性爪囲炎には効きません。膿が見える・ずきずき痛む・赤みが広がる場合は、市販薬で数日待たずに受診してください。軽い症状でも悪化したら再評価を。
水仕事で爪の根元がずっと赤く腫れています。ひょう疽ですか?
数週間以上じわじわ続く爪の根元の赤い腫れは、慢性爪囲炎の可能性があります。水仕事・洗剤・消毒で皮膚のバリアが落ち、甘皮がなくなって慢性的な炎症が続くもので、カンジダなどが関わる場合もあります。治療は水や洗剤の刺激を減らし手袋・保湿で保護することが中心で、必要に応じて炎症を抑える外用薬を使い、感染が関わる場合はその治療も検討します。治るまで数週間〜数か月かかります。
足の親指の爪の横が腫れて膿んでいます。同じ病気ですか?
足の爪の横の腫れ・膿は、爪の角が皮膚に食い込む陥入爪(巻き爪)に伴うこともあり、その場合は爪の食い込みへの対処が必要です。原因は診察で確認します。爪の食い込みについては巻き爪が痛いときのコラムをご覧ください。

参考資料

監修医師情報
駒沢皮膚科クリニック院長 清水顕医師
清水 顕(しみず あきら)
駒沢皮膚科クリニック 院長/医学博士
医療法人社団 誠清会 理事長
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

経歴
  • 山梨医科大学医学部(現・山梨大学医学部)卒業 / 同大学皮膚科学教室 入局
  • 同大学 救急部麻酔科にて全身管理を研修
  • がん研究会がん研究所 生化学部にて皮膚がんの発生メカニズムを研究(国内留学)
  • スウェーデン・ルードヴィック癌研究所 研究員(国際共同研究)
  • 山梨医科大学 皮膚科 助手・医局長 歴任
  • 2003年11月 駒沢皮膚科クリニック 開院(開業20年以上)

専門分野

皮膚がん・アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・ニキビ・ニキビ跡・アレルギー性皮膚疾患・美容皮膚科


資格・所属学会
  • 医学博士
  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 日本皮膚科学会 会員
  • 日本臨床皮膚科学会 会員
  • 日本アレルギー学会 会員
  • 日本美容皮膚科学会 会員

研究業績
  • 「血小板由来成長因子(PDGF)のシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により文部科学省 科学研究費助成(平成13〜14年度)
  • 「隆起性皮膚線維肉腫におけるPDGFのシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により日本皮膚科学会 基礎医学研究費(資生堂寄付)授与(平成14年度)

担当医師より

ひょう疽で一番避けたいのは、ヘルペス性を細菌性と思って切ってしまうことと、自分で針を刺して深部に感染を広げてしまうことです。小さな水ぶくれが集まっていないか、口唇ヘルペスの既往がないかを必ず確認してから処置を決めます。膿がたまった細菌性は、切開すればその場で痛みが楽になる病気なので、我慢せず早めにいらしてください。水仕事の方の慢性の腫れは、薬より手袋と保湿が治療の中心です。まずお気軽にご来院ください。

本コラムは皮膚科専門医が監修しています。個別の症状・治療方針については、必ず医師の診察を受けた上でご自身でお決めください。(医療広告ガイドライン準拠)

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