黒色表皮腫とは|首・脇の黒ずみと皮膚の厚みが気になる方へ

皮膚科専門医 監修コラム

黒色表皮腫とは|
首・脇の黒ずみと皮膚の厚みが気になる方へ

専門医監修 保険診療対応 駒沢皮膚科クリニック|駒沢大学駅直結
公開日:2027年1月20日 / 最終更新日:2027年1月20日
駒沢皮膚科クリニック院長 清水顕医師
監修:清水 顕(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/医学博士) 医療法人社団 誠清会 駒沢皮膚科クリニック 院長
一般皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科(医師紹介)
この記事の結論
  • 黒色表皮腫は、首の後ろ・脇・股に、ビロードのような厚みとざらつきのある黒ずみが出る皮膚の変化です。色素沈着と違って皮膚そのものが厚くなっており、洗っても落ちません
  • 多くは体の中でインスリンが効きにくくなっている状態のサインで、2型糖尿病やその前段階と関係します。薬や体質によるものもあり、体の中の状態の確認が治療の出発点です
  • 中高年で急に出て広がる、手のひら・口の中にも出る、体重が減る場合は、まれに内臓の病気(胃がんなど)に伴うタイプがあり、早めの検査が必要です

「首の後ろの黒ずみが洗っても落ちない」「脇の黒ずみがざらざらして厚い」「子どもの首が黒くなってきた」「股の黒ずみにかゆみはないが広がっている」——こうした厚みのある黒ずみは、黒色表皮腫(こくしょくひょうひしゅ)のことがあります。名前に「腫」とついていますが、できもの(腫瘍)ではなく、皮膚の表面が厚くなって色が濃くなる変化です。

黒色表皮腫で大切なのは、皮膚の黒ずみそのものより、その背景にある体の状態です。多くは血糖を下げるホルモン(インスリン)が効きにくくなっている状態と関係し、まれに内臓の病気のサインのこともあります。この記事では、黒色表皮腫の見た目、原因、注意が必要なタイプ、摩擦による黒ずみとの違い、皮膚科での検査と治療を皮膚科専門医が解説します。

黒色表皮腫とは|首・脇・股のビロードのような黒ずみと厚み

黒色表皮腫は、皮膚の表面(表皮)が厚くなり、同時にメラニンが増えて灰色〜茶色〜黒っぽく見える皮膚の変化です。首の後ろ・側面、脇の下、股(そけい部)など、皮膚が折れ曲がって擦れる部位に左右対称に出ます。ひじ・ひざ・指の関節に出ることもあります。

見た目境界のぼんやりした灰色〜黒っぽい斑。表面はビロード(ベルベット)のようにきめが粗く、触るとざらざら・厚い。進むと皮膚のしわが深く目立ち、小さな突起(スキンタッグ)を伴うことがある
部位首の後ろが最も多く、脇・股・乳房の下・へその周り・ひじ・ひざ・指の関節。まれに口の中や手のひら(注意が必要なタイプ)
症状かゆみ・痛みは通常ないが、ときにかゆみを伴う。「洗っても落ちない汚れ」として気づくことが多い。皮膚がふやけてにおいが出ることがある
年齢思春期〜若い成人に多いが、子どもにも中高年にもみられる。肌の色が濃い方に多い
経過数か月〜年単位でゆっくり広がる。原因となる体の状態が改善すると薄くなることが多いが、残る場合もある

黒色表皮腫は「皮膚の病気」というより、体の中の状態が皮膚に映ったものです。だからこそ、黒ずみを消すことだけを目標にせず、原因を確認することが重要です。

黒色表皮腫の原因|インスリン抵抗性(肥満・2型糖尿病・PCOS)・薬・体質

黒色表皮腫の多くは、血糖を下げるホルモン「インスリン」が体で効きにくくなり(インスリン抵抗性)、それを補うためにインスリンが多く分泌されている状態で起こります。増えたインスリンが皮膚の細胞を刺激し、表皮が厚くなると考えられています。

タイプ背景特徴
インスリン抵抗性に伴うもの(最も多い)体重の増加、2型糖尿病やその前段階、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、脂質異常など思春期〜若い成人に多く、首の後ろ・脇から始まる。糖尿病がまだ診断されていない方の最初のサインになることがある
薬によるものステロイドの飲み薬、経口避妊薬、ニコチン酸、インスリン注射、一部のホルモン剤など薬を始めた後に出る。中止・変更で改善することがある(自己判断で中止しない)
体質・遺伝によるものまれ。家族内に同じ症状がある小児期から出現し、思春期以降は進行が止まることが多い。通常、体の病気を伴わない
ホルモンの病気に伴うもの甲状腺の病気、副腎・下垂体の病気などほかの症状(体重変化・月経の異常・だるさ)を伴うことが多い
内臓の病気に伴うもの(まれ)胃がんなどの消化器のがん中高年で急に出て広がる。次の章で説明

「太っているから」「不摂生だから」という話ではありません。インスリンの効きやすさには体質・遺伝・年齢・薬・ホルモンが関わっており、同じ体型でも出る方と出ない方がいます。黒色表皮腫は、体の中で起きていることを早めに教えてくれるサインと捉えてください。

注意が必要なタイプ|急に広がる・手のひら・口の中・体重減少

黒色表皮腫のほとんどは、インスリン抵抗性や薬・体質によるもので、命に関わるものではありません。ただし、内臓のがん(特に胃がん)に伴って出る「悪性黒色表皮腫」というまれなタイプがあり、見分けのポイントがあります。

早めに検査が必要なサイン
  • 中高年になってから、数週間〜数か月で急に出て広がった(通常の黒色表皮腫はゆっくり)
  • 体重の増加がない、むしろ減っている、食欲がない、だるい
  • 口の中・唇・手のひら(まれに足の裏)にも黒ずみや厚み・ざらつきが出た(手のひらが厚くしわが深くなる「牛肚様手掌」)
  • 黒ずみの範囲が広く、程度が強い

これらがある場合は早めに受診してください。皮膚の所見と全身の状態を合わせて確認し、内科・消化器内科と連携して、内視鏡なども含め必要な検査を判断します。体質によるものと考えられる場合でも、ほかの症状があれば背景の病気を確認します。「体重が減っているのに首が黒くなってきた」という組み合わせは、見過ごしてはいけないサインです。

似ている黒ずみとの違い|摩擦による色素沈着・脇の黒ずみ・乾燥

首・脇・股の黒ずみのご相談で、黒色表皮腫と区別が必要なものを整理します。厚み・ビロード状の質感は黒色表皮腫を疑う手がかりですが、こする習慣や湿疹などによる皮膚の変化もあるため、厚みの有無だけでは区別できません。色・質感・出ている場所と、かゆみや赤みが先行したかを合わせて診察します。

黒ずみ黒色表皮腫との違い
摩擦・刺激による色素沈着(脇・股の黒ずみ、骨の出た部位にできる摩擦黒皮症など)ナイロンタオルでこする、下着やカミソリの刺激が続いた部位に出る。典型的には表面がなめらかで、刺激をやめると時間をかけて薄くなる。長く続くと厚みを伴うこともあり、経過と合わせて判断(シミの原因と種類のコラム)
乾燥・古い角質首・ひじ・ひざの黒ずみで、乾燥してかさかさしている。保湿で改善する。黒色表皮腫のビロード状の厚みとは質感が違う
湿疹・かぶれの後の色素沈着かゆみ・赤みが先にあり、治った後に茶色く残る。典型的には時間とともに薄くなる
たむし(体部白癬)・股部白癬股の黒ずみにかゆみ・輪のような赤い縁がある。顕微鏡検査で判断(いんきんたむしのコラム)
毛孔性苔癬二の腕・太もものブツブツとざらつきで、毛穴ごとに小さな角質がたまる。首の後ろや脇には出にくい(毛孔性苔癬のコラム)
脂漏性角化症・アジソン病など盛り上がったいぼ状のものや、全身の皮膚・粘膜が黒くなるものは別の病気。診察で区別

黒ずみについては、美白・ピーリングなどの美容の相談になることがありますが、黒色表皮腫では自己判断で美白剤やピーリングを続ける前に、診察で原因を確かめることが先です。

皮膚科での診察と検査|血糖の評価は内科と連携、生検は必要なときのみ

黒色表皮腫は、見た目と触った感じ(ビロード状の厚み)と部位で判断できることがほとんどです。診察では、皮膚の変化に加えて、原因を探るための問診を行います。

診察で確認すること
  • 出始めた時期と広がる速さ、口の中・手のひらの変化の有無
  • 体重の変化(増えたか、減ったか)、だるさ・食欲
  • 糖尿病・脂質異常の指摘、健診の血糖値、家族の糖尿病
  • 月経の異常・多毛・にきび(PCOSの手がかり)
  • 飲んでいる薬(ステロイド・経口避妊薬・ホルモン剤など。お薬手帳をお持ちください)
  • 皮膚生検——見た目で判断が難しい場合や、ほかの病気との区別が必要な場合に限って行います。黒色表皮腫と判断できる場合は不要です

血糖・HbA1c・インスリン・ホルモンの検査は、糖尿病や内分泌の病気の診断と治療に直結するため、内科(糖尿病内科・内分泌内科)での評価が適切です。当院では皮膚の診断を行ったうえで、必要に応じて内科をご紹介し、健診のデータがあればお持ちいただいて一緒に確認します。悪性型が疑われる場合は消化器内科へご紹介します。

治療|原因への対処が基本、塗り薬・レーザーの効果は限定的

治療では、まず背景にある病気や薬などを確認し、必要な対応を行います。原因への治療で黒ずみが薄くなることも多いですが、残る場合もあります。皮膚そのものへの治療は補助的に検討しますが、効果には限界があり、すべての方に同じ治療が適するわけではありません。

治療の考え方
  • インスリン抵抗性に伴うもの——食事・運動・体重の管理、必要に応じた糖尿病の治療を内科と連携して行います。インスリンの効きが改善すると、皮膚も時間をかけて改善することが多いです。皮膚科は経過を見ながら、内科での治療につなげる役割です
  • 薬によるもの——原因の薬の中止・変更を処方医と相談します。自己判断で中止しないでください
  • ホルモンの病気・内臓の病気に伴うもの——それぞれの専門科での治療が優先です
  • 皮膚への補助的な治療——角質をやわらかくする外用薬(尿素・サリチル酸など)や、レチノイド系の外用薬が見た目の改善に使われることがありますが、効果には限界があり、原因が残ったままでは戻りやすいです。保険適用の有無は薬によって異なり、診察時にご説明します
  • レーザー・ピーリング——海外では報告がありますが、効果は一定せず、原因への対処なしに行うものではありません。当院では黒色表皮腫に対する美容目的の施術はお勧めしていません
やってはいけないこと
  • ナイロンタオル・スクラブでこすって落とそうとする——厚みは汚れではなく皮膚そのものです。刺激でかえって色が濃くなることがあります
  • 市販の美白クリームで様子を見続ける——厚みのある黒ずみには効果がなく、原因の確認が遅れます
  • 糖尿病や薬の確認を後回しにする——黒色表皮腫は体の状態のサインです。皮膚の相談をきっかけに、内科の評価につなげてください

受診の目安・急ぐ症状

受診の目安
  • 首・脇・股の黒ずみに厚み・ざらつきがあり、洗っても落ちない
  • 黒ずみが数か月で広がっている
  • 健診で血糖が高めと言われたことがある、家族に糖尿病がいる
  • 子どもの首や脇が黒くなってきた(体重の増加を伴う場合は特に)
  • 薬を始めてから黒ずみが出た

受診時は、お薬手帳と、健診の結果(血糖値・HbA1c)があればお持ちください。

早めに受診していただきたい症状(急ぐ症状)
  • 中高年になって急に黒ずみが出て広がり、体重が減っている・食欲がない——内臓の病気の確認が必要
  • 口の中・唇・手のひら(まれに足の裏)にも黒ずみや厚みが出た
  • 黒ずみに加えて強いのどの渇き・多尿・急な体重減少がある——糖尿病の症状。内科を早めに

当院の保険診療は初診予約不要です。「黒ずみが病気かどうか分からない」段階でも、診療時間・受付時間をご確認のうえご来院ください。

首・脇の黒ずみと厚みは、皮膚の診察から

初診は予約不要・保険診療

色や厚み、広がり方を診察し、黒色表皮腫などの可能性を確認します。必要に応じて内科で血糖やホルモンなどを評価し、原因への対処につなげます。健診結果とお薬手帳をお持ちください。

TEL03-3413-6600 公式LINEはこちら 診療時間・行き方を確認する(アクセスページ)

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よくある質問

首の後ろの黒ずみが洗っても落ちません。黒色表皮腫ですか?
首の後ろの黒ずみに、ビロードのような厚み・ざらつきがあり、洗っても落ちない場合は黒色表皮腫の可能性があります。厚みがなくなめらかな黒ずみは、摩擦による色素沈着や乾燥のことが多く、対応が異なります。見分けは診察で行い、黒色表皮腫であれば原因(インスリンの効きにくさ・薬・体質など)の確認に進みます。
黒色表皮腫は糖尿病のサインですか?
黒色表皮腫の多くは、血糖を下げるホルモンであるインスリンが体で効きにくくなっている状態(インスリン抵抗性)と関係しており、2型糖尿病やその前段階で出ることがあります。糖尿病がまだ診断されていない方の最初のサインになることもあります。血糖やHbA1cの評価は内科で行うのが適切で、当院から必要に応じてご紹介します。健診の結果があればお持ちください。
黒色表皮腫は治りますか?
原因となる体の状態が改善すると、黒ずみと厚みが時間をかけて薄くなることが多いですが、残る場合もあります。インスリン抵抗性によるものは、食事・運動・体重の管理や糖尿病の治療が中心で、薬によるものは処方医と相談して薬を見直します。角質をやわらかくする外用薬などは補助的に検討しますが、効果には限界があり、すべての方に同じ治療が適するわけではありません。
美白クリームやレーザー、ピーリングで消せますか?
黒色表皮腫は皮膚が厚くなる変化で、メラニンだけの問題ではないため、美白クリームだけで改善することは期待しにくいです。レーザーやピーリングは海外で報告がありますが効果は一定せず、原因への対処なしに行うものではありません。当院では黒色表皮腫に対する美容目的の施術はお勧めせず、まず原因の確認と対処を優先したうえで、皮膚への補助的な治療を検討します。
子どもの首や脇が黒くなってきました。
子どもや思春期の黒色表皮腫は、体重の増加に伴うインスリンの効きにくさと関係していることが多く、将来の2型糖尿病のリスクを早めに知る機会になります。体質によるものもあります。皮膚の診察で黒色表皮腫かどうかを確認したうえで、必要に応じて小児科・内科での血糖の評価につなげます。こすって落とそうとすると色が濃くなることがあるため避けてください。
黒色表皮腫でがんが見つかることがあると聞きました。
まれに、胃がんなど内臓のがんに伴って出るタイプ(悪性黒色表皮腫)があります。中高年になってから急に出て広がる、体重が減っている、口の中や手のひらにも出るといった特徴があり、この場合は消化器の検査が必要です。思春期〜若い成人にゆっくり出る黒色表皮腫のほとんどは、このタイプではありません。
黒色表皮腫の検査で生検は必要ですか?
多くは見た目と触った感じ、部位で判断でき、生検は不要です。見た目で判断が難しい場合や、ほかの病気との区別が必要な場合に限って皮膚生検を行います。皮膚の診断より重要なのは原因の評価で、血糖・HbA1c・ホルモンの検査は内科で行い、必要に応じてご紹介します。

参考資料

監修医師情報
駒沢皮膚科クリニック院長 清水顕医師
清水 顕(しみず あきら)
駒沢皮膚科クリニック 院長/医学博士
医療法人社団 誠清会 理事長
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

経歴
  • 山梨医科大学医学部(現・山梨大学医学部)卒業 / 同大学皮膚科学教室 入局
  • 同大学 救急部麻酔科にて全身管理を研修
  • がん研究会がん研究所 生化学部にて皮膚がんの発生メカニズムを研究(国内留学)
  • スウェーデン・ルードヴィック癌研究所 研究員(国際共同研究)
  • 山梨医科大学 皮膚科 助手・医局長 歴任
  • 2003年11月 駒沢皮膚科クリニック 開院(開業20年以上)

専門分野

皮膚がん・アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・ニキビ・ニキビ跡・アレルギー性皮膚疾患・美容皮膚科


資格・所属学会
  • 医学博士
  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 日本皮膚科学会 会員
  • 日本臨床皮膚科学会 会員
  • 日本アレルギー学会 会員
  • 日本美容皮膚科学会 会員

研究業績
  • 「血小板由来成長因子(PDGF)のシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により文部科学省 科学研究費助成(平成13〜14年度)
  • 「隆起性皮膚線維肉腫におけるPDGFのシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により日本皮膚科学会 基礎医学研究費(資生堂寄付)授与(平成14年度)

担当医師より

黒色表皮腫は、「黒ずみを消したい」というご相談で来院されることが多いのですが、私は皮膚の診察と同時に、体の中で何が起きているかを考えます。首の後ろの厚い黒ずみは、まだ診断されていない糖尿病や、その手前の状態を教えてくれていることがあり、ここで内科につなげられるかどうかが、その後の健康に関わります。もう一つ、中高年で急に出て、体重が減っているという組み合わせは、まれですが内臓の病気を疑って検査を急ぐべきサインです。黒ずみに厚みがあると感じたら、こすらずに、お気軽にご来院ください。

本コラムは皮膚科専門医が監修しています。個別の症状・治療方針については、必ず医師の診察を受けた上でご自身でお決めください。(医療広告ガイドライン準拠)

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