老人性紫斑・単純性紫斑とは|あざができやすいときの確認点
老人性紫斑・単純性紫斑とは|
あざができやすいときの確認点
一般皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科(医師紹介)
- ぶつけた覚えがないのに腕や手の甲に紫色のあざができ、1〜3週間で消えるのを繰り返すなら老人性紫斑が代表的です。加齢と紫外線で皮膚と血管が弱くなって起こります
- 若い方の繰り返すあざには単純性紫斑などがありますが、年齢や見た目だけでは原因を決められません。血液をさらさらにする薬やステロイドはあざを増やすため、薬の確認が大切です
- 点状の出血、歯ぐき・鼻からの出血、全身に広がる紫斑、発熱・関節痛・腹痛を伴う場合は血液や血管の病気の可能性があり、血液検査が必要です。薬は自己判断で中止しないでください
「ぶつけた覚えがないのに、腕に紫色のあざができている」「手の甲のあざが消えたと思ったらまた別の場所にできる」「太ももやすねにあざができやすい」「薬を飲み始めてからあざが増えた」——こうしたあざ(紫斑)のご相談は、皮膚科でよくあります。多くは老人性紫斑や単純性紫斑という、皮膚や血管の弱さによる心配のないものです。
一方で、紫斑の中には血小板の減少・血液が固まりにくくなる病気・血管の炎症が隠れていることがあり、そちらは早く見つける必要があります。年齢や見た目だけでは原因を決められず、診察で出血歴・服薬・全身症状を確認し、必要な検査を行ったうえで判断します。この記事では、老人性紫斑と単純性紫斑の特徴、あざができやすくなる原因(薬を含む)、注意が必要な紫斑の見分け方、皮膚科での検査と対策を皮膚科専門医が解説します。
老人性紫斑とは|腕・手の甲にできる紫色のあざ
| まず見分けたい方へ | 老人性紫斑 | 単純性紫斑 |
|---|---|---|
| 年齢 | 主に50歳以上 | 若い〜中年 |
| 主な部位 | 前腕・手の甲 | 太もも・お尻・二の腕・脚 |
| 診断の考え方 | 薄い皮膚と斑状の紫斑から診察で判断。検査は通常不要 | 出血歴・服薬・家族歴を確認し、必要な検査で異常がないことを確かめて判断 |
当てはまれば診断が確定するわけではありません。急ぐ症状がある場合は、どちらの年齢でもその項を先にお読みください。
老人性紫斑(ろうじんせいしはん)は、加齢と長年の紫外線で皮膚が薄くなり、皮膚の浅いところの血管がもろくなることで、軽くぶつけたり擦れたりしただけで血管が破れてできるあざです。50歳以上の方の1割以上にみられ、男女差はありません。病気ではなく、皮膚の老化のあらわれです。
| 場所 | 前腕(ひじから先)の外側・手の甲に多い。首や顔にできることもある。紫外線を浴びてきた部位に出る |
|---|---|
| 見た目 | 境界のはっきりした濃い紫〜赤紫色の斑。大きさは1〜4cm程度。ふつうの打ち身のように青→緑→黄と色が変わらず、紫のまま薄くなる。周りの皮膚は薄く、しわが多く、しみが混ざっている |
| 症状 | 痛み・かゆみはない。ぶつけた記憶がないことが多い。同じ部位の皮膚が裂けやすい(皮膚裂傷) |
| 経過 | 1〜3週間で薄くなる。薄茶色の色素沈着(血液の鉄分が皮膚に残ったもの)が残ることがあり、繰り返すと前腕がまだらな茶色になる |
| 心配は | 老人性紫斑そのものは体の病気とは関係がなく、治療も不要。ただし薬(次の章)で増えていることがある |
単純性紫斑とは|若い女性の太もも・腕にできやすいあざ
単純性紫斑(たんじゅんせいしはん)は、血液の検査に異常がないのに、あざができやすい状態で、若い〜中年の女性の太もも・お尻・二の腕・脚に多くみられます。小さな紫斑が数個散らばって出たり、軽い打ち身で大きめのあざができたりし、数週間で消えてまた別の場所にできます。
- 血小板の数や血液の固まり方は正常で、血管の壁の弱さや体質によると考えられています
- 歯ぐき・鼻からの出血、生理の量が極端に多いといった粘膜の出血は通常伴いません(伴う場合は別の病気を考えます)
- 診断がつけば害はなく、治療は不要です。ただし単純性紫斑は「血液の検査に異常がない」ことを確かめてつける診断なので、「体質だから」と決める前に、出血歴・薬・サプリメントの影響を確認し、必要な検査を行います。年齢や見た目だけでは判断しません
同じ脚でも、足首からすねにかけて赤茶色の細かい点々や色素沈着が持続する場合は、毛細血管から少量の血液が漏れる色素性紫斑病(心配のないもの)や、静脈のうっ滞によるうっ滞性皮膚炎のことが多く、盛り上がって触れる紫斑や発熱を伴う場合は血管の炎症(血管炎)を考えます。診察で区別します。
あざができやすい原因|皮膚の老化・紫外線・ステロイド・血液をさらさらにする薬
あざ(紫斑)は、血管の壁がもろい・血小板が少ない(または働きが落ちている)・血液が固まりにくいのいずれかで起こります。老人性紫斑・単純性紫斑は「血管の壁がもろい」タイプですが、そこに薬の影響が重なると、あざが急に増えたように感じます。
| 原因 | どうしてあざが増えるか | 対応 |
|---|---|---|
| 皮膚の老化・紫外線 | 真皮のコラーゲンが減って皮膚が薄くなり、血管を支える組織が弱くなる。長年の紫外線で加速する | 紫外線対策と保湿。皮膚をこすらない・ぶつけない |
| ステロイド(飲み薬・長期の塗り薬) | 皮膚が薄くなり(皮膚萎縮)、血管がもろくなる。塗り薬でも強いものを同じ場所に長く使うと起こる | 塗り方・強さを見直す(ステロイド外用薬の強さのコラム)。飲み薬は処方医に相談 |
| 血液をさらさらにする薬(抗血小板薬・抗凝固薬) | 心臓や脳の病気の予防に使う薬(アスピリン、クロピドグレル、ワルファリン、DOACなど)は、血が止まりにくくなるためあざが大きく・多くなる | 自己判断で中止しない。あざが増えたことを処方医に伝える |
| 市販薬・サプリメント | ロキソプロフェン・イブプロフェンなどのNSAIDsやアスピリンは通常の量でも血小板の働きを抑える(アセトアミノフェンは含みません)。魚油(EPA・DHA)・イチョウ葉・ビタミンEの大量摂取は出血しやすさとの関連が報告されているが、根拠は限定的 | 飲んでいるものをすべて診察時に伝える |
| 栄養 | ビタミンCの不足(極端な偏食)で血管がもろくなる | 食事の確認 |
| 肝臓の病気 | 血液を固める成分が作られにくくなる、血小板が減る | 内科での評価 |
| 腎臓の病気(腎不全) | 血小板の働きが落ちる | 内科での評価 |
日光に当たる部位に限って皮膚が赤くなる・かゆくなる場合は、紫斑ではなく日光アレルギー(光線過敏症)を考えます。爪の下の黒いあざは、ぶつけた後の爪の内出血(爪下血腫)として別に解説しています。新しく飲み始めた薬の後に紫斑が出た場合は、薬による血小板減少や血管炎の可能性も確認します(薬による発疹全般は薬疹のコラム)。
注意が必要な紫斑|点状出血・粘膜出血・全身の紫斑・発熱
老人性紫斑・単純性紫斑は「腕・脚の限られた場所に、斑状のあざが出て消える」のが特徴です。これと違う出方をする紫斑は、血液や血管の病気のサインのことがあります。
- 点状出血——針の先ほどの赤紫の点々が、すね・足・体に多数出る(血小板の減少を疑う)
- 粘膜からの出血——歯ぐき・鼻からの出血が止まりにくい、血尿・黒い便、生理の量が急に増えた
- 全身に広がる紫斑、または盛り上がって触れる紫斑(血管炎を疑う)
- 発熱・強いだるさ・関節痛・腹痛を伴う。子どもでは、脚やお尻の紫斑に腹痛・関節痛を伴うIgA血管炎(紫斑病)がある
- 紫斑が数日で急に増える。または、子どものころから出血しやすい(鼻血が多い、抜歯や小さな傷で血が止まりにくい、家族にも出血しやすい人がいる)
これらは皮膚科だけで完結しないことが多く、内科・血液内科・小児科と連携します。出血が止まりにくい、血尿・黒い便がある場合は、採血の結果を待たず、その日のうちに医療機関へ相談してください。「年のせい」「体質」で済ませる前に、一度確認しておくべき症状です。
皮膚科での診察と検査|問診・血液検査が必要な場合
診察では、紫斑の出ている場所・大きさ・形(点状か斑状か)・盛り上がりの有無と、周りの皮膚の状態(薄さ・しわ・しみ)を見ます。老人性紫斑は、前腕・手の甲の斑状の紫斑と薄い皮膚という組み合わせで判断できることがほとんどで、特別な検査は不要です。
- 飲んでいる薬・サプリメント(お薬手帳をお持ちください)——抗血小板薬・抗凝固薬・ステロイド・鎮痛薬・魚油など
- 塗っている薬——ステロイド外用薬の種類と使っている期間・場所
- 粘膜の出血の有無、発熱・関節痛・腹痛の有無
- 血液検査——必要な検査は、あざの出方、鼻血・歯ぐき出血・月経の出血量、家族歴、服薬、診察所見から選びます。典型的な老人性紫斑で、ほかに気になる症状がなければ検査は通常不要です。服薬(抗凝固薬など)や症状によっては血算などを行います。若い方のあざのできやすさは、単純性紫斑と判断する前に血算(血小板の数など)を確認することが多いですが、血算が正常でも血小板の働きや血液の固まり方の異常をすべて否定できるわけではありません。点状出血や粘膜出血がある、全身に広がる、生理の量が多い・家族にもあざが多い場合は、追加の検査や内科・血液内科での評価をご案内します
「検査をしないと不安」という場合もご相談ください。全員に同じ検査を行うのではなく、診察で必要な検査を選びます。
対策と治療|薬は自己判断で中止しない、皮膚の保護と紫外線対策
老人性紫斑・単純性紫斑と診断された場合、通常は紫斑そのものへの特別な治療は必要ありません。対策は「新しいあざを減らす」「皮膚を守る」ことと、「影響している薬を確認する」ことです。皮膚が裂けた、出血が続く、いつもと異なる経過がある場合は別途対応します。
- 紫外線対策——前腕・手の甲は日焼け止めや長袖で守ります。皮膚の老化の進行を遅らせます
- 保湿——乾燥した薄い皮膚は裂けやすくなります。保湿剤で皮膚の柔軟性を保ちます(皮脂欠乏性湿疹の診療案内)
- こすらない・ぶつけない——強くこする洗い方、きつい袖口、腕を引っ張られる動作を避けます。皮膚が裂けた場合は水で洗い、傷を覆って受診してください
- ステロイド外用薬の見直し——強いステロイドを同じ場所に長く塗っている場合は、強さ・回数・期間を調整します。自己判断で急にやめると元の病気が悪化することがあるため、診察で相談してください
抗血小板薬・抗凝固薬は、心筋梗塞・脳梗塞・血栓を防ぐために処方されている薬です。あざが増えたことを理由に自己判断で中止すると、命に関わる血栓を起こすことがあります。あざは薬の影響の範囲であることが多く、処方医に「あざが増えた」と伝えたうえで、量や種類の調整が必要かを判断してもらってください。粘膜からの出血(歯ぐき・鼻・血尿・黒い便)がある、出血が止まりにくい場合は、処方医の返答を待たず、その日のうちに医療機関へ相談し、薬の名前と最後に飲んだ時刻を伝えてください。
すでにできたあざは時間とともに薄くなり、早く消すための特別な治療は通常行いません。色素沈着は薄くなることが多いですが、繰り返すと茶色が残ることがあります。
受診の目安・急ぐ症状
- ぶつけた覚えのないあざが繰り返しできる(一度、老人性紫斑・単純性紫斑かどうかを確認)
- 薬やサプリメントを始めてからあざが増えた
- ステロイドの塗り薬を長く使っている部位の皮膚が薄くなり、あざが出る
- あざの部位の皮膚が裂けやすい、傷が治りにくい
- あざの色や形がいつもと違う、盛り上がっている
受診時は、お薬手帳(市販薬・サプリメントも含めて)と、あざが出始めた時期、粘膜出血の有無をお伝えください。
- 点状の出血が急に全身に広がる、紫斑が数日で急に増える
- 歯ぐき・鼻からの出血が止まりにくい、血尿、黒い便——血液の病気や薬の効きすぎの可能性。その日のうちに医療機関へ。抗凝固薬を飲んでいる方は薬の名前と最後に飲んだ時刻を伝えてください。大量の出血、意識が遠のく場合は救急車を
- 紫斑が数時間〜1日で急に広がり、高熱・ぐったり・意識がぼんやりするのを伴う——時間帯を問わず直ちに救急外来へ(救急車も可)。発熱・関節痛・腹痛を伴う紫斑も夜間・休日は救急外来へ
- あざの部位が赤く腫れて熱をもち、痛む——皮膚の感染(蜂窩織炎のコラム)
当院の保険診療は初診予約不要です。あざが心配な段階でも、診療時間・受付時間をご確認のうえご来院ください。
繰り返すあざが気になる方へ|薬と出血歴から必要な対応を考えます
初診は予約不要・保険診療
出血歴と服薬、皮膚の状態から必要な対応を検討します。典型的な老人性紫斑・単純性紫斑と判断できれば特別な治療は不要です。検査が必要な紫斑は、内科・血液内科と連携します。お薬手帳と経過の写真をお持ちください。
TEL03-3413-6600 公式LINEはこちら 診療時間・行き方を確認する(アクセスページ)保険診療の初診は予約不要です。受付は診察終了の15分前までです。検査や処置の内容によっては、別日の実施や専門施設へのご紹介が必要な場合があります。
土 9:30〜12:00 / 14:00〜17:00
木・日・祝 休診
〒154-0011 東京都世田谷区上馬3-18-11 エルフレア駒沢3F
よくある質問
関連ページ
参考資料
- DermNet NZ(ニュージーランドの皮膚科専門医が運営する医療情報サイト):Senile purpura——老人性紫斑の頻度(50歳以上の10%超)、好発部位(前腕・手の甲)、原因(加齢・紫外線・ステロイド・抗凝固薬)、1〜3週間の経過と茶色い色素沈着、紫外線対策
- DermNet NZ:Purpura——紫斑の分類(血小板減少によるもの・凝固異常によるもの・血管の異常によるもの)、点状出血と斑状出血の違い
- DermNet NZ:Topical steroid——ステロイド外用薬の長期使用による皮膚萎縮・紫斑などの局所の副作用
医療法人社団 誠清会 理事長
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 山梨医科大学医学部(現・山梨大学医学部)卒業 / 同大学皮膚科学教室 入局
- 同大学 救急部麻酔科にて全身管理を研修
- がん研究会がん研究所 生化学部にて皮膚がんの発生メカニズムを研究(国内留学)
- スウェーデン・ルードヴィック癌研究所 研究員(国際共同研究)
- 山梨医科大学 皮膚科 助手・医局長 歴任
- 2003年11月 駒沢皮膚科クリニック 開院(開業20年以上)
皮膚がん・アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・ニキビ・ニキビ跡・アレルギー性皮膚疾患・美容皮膚科
- 医学博士
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会 会員
- 日本臨床皮膚科学会 会員
- 日本アレルギー学会 会員
- 日本美容皮膚科学会 会員
- 「血小板由来成長因子(PDGF)のシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により文部科学省 科学研究費助成(平成13〜14年度)
- 「隆起性皮膚線維肉腫におけるPDGFのシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により日本皮膚科学会 基礎医学研究費(資生堂寄付)授与(平成14年度)
老人性紫斑は、診察室で「これは年齢による皮膚の変化で、心配いりません」とお伝えすることが多い症状です。ただ、私が必ず確認しているのが飲んでいる薬です。心臓や脳の病気で血液をさらさらにする薬を飲んでいる方が、あざが増えたことを心配して薬を自己判断でやめてしまうことがあり、それが一番避けたいことです。あざは薬の影響の範囲であることが多く、やめる判断は処方した医師がすべきものです。もう一つは、点状の出血や粘膜からの出血です。これは皮膚の老化では説明がつかないため、血液検査で確認し、必要に応じて内科・血液内科と連携します。出血が止まりにくいときは、採血の結果を待たずにその日のうちに相談してください。あざが気になる方は、お薬手帳を持って、お気軽にご来院ください。
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腕・手の甲・脚のあざは、老人性紫斑・単純性紫斑のことが多いものの、年齢や見た目だけでは決められません。薬の影響と血液の病気の確認が大切です。初診予約不要・駒沢大学駅直結です。
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