ヒルドイドとヘパリン類似物質の違い|成分・剤形・使い方の確認
ヒルドイドとヘパリン類似物質の違い|
成分・剤形・使い方の確認
一般皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科(医師紹介)
- ヒルドイドは商品名、ヘパリン類似物質は成分名です。処方される「ヘパリン類似物質油性クリーム」などは同じ成分の後発品で、違いは主に基剤・使用感・価格です
- 保険で処方できるのは皮脂欠乏症・手荒れ(進行性指掌角皮症)・しもやけ・ケロイド・打撲の腫れなど承認された病気に限られ、美容目的の保湿には保険で処方できません
- 剤形はソフト軟膏・クリーム・ローション・フォーム。有効成分と含有量は同じで、使用感・伸び・塗る部位で選びます。1日1〜数回、入浴後の乾き切る前に十分な量を
「ヒルドイドをもらっていたのに、今回はヘパリン類似物質という名前の薬だった。別の薬?」「ヒルドイドは顔に塗っていい?」「美容にいいと聞いたので処方してほしい」——ヘパリン類似物質の塗り薬は、皮膚科で広く処方される保湿剤ですが、商品名と成分名の混同、剤形の違い、保険で処方できる範囲について質問が絶えません。
この記事では、添付文書に沿って、ヒルドイドとヘパリン類似物質の関係、ソフト軟膏・クリーム・ローション・フォームの違いと選び方、保険で処方できる病気と美容目的に使えない理由、市販のヘパリン類似物質製品との違い、使い方と注意点、費用の目安を皮膚科専門医が解説します。実際の塗り方・量・期間は処方医の指示が優先します。この記事は一般的な説明で、個々の処方の指示に代わるものではありません。
ヒルドイドとヘパリン類似物質の違い|商品名と成分名、先発品と後発品
結論から言うと、「ヒルドイド」は商品名、「ヘパリン類似物質」は有効成分の名前です。ヒルドイドの有効成分がヘパリン類似物質(0.3%)で、同じ成分を同じ濃度で含む後発品(ジェネリック)が「ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「○○」」「ヘパリン類似物質ローション0.3%「○○」」といった成分名+メーカー名で販売されています。
| 区分 | 名前の例 | 中身 |
|---|---|---|
| 先発品(商品名) | ヒルドイドソフト軟膏0.3%/ヒルドイドクリーム0.3%/ヒルドイドローション0.3%/ヒルドイドフォーム0.3% | ヘパリン類似物質0.3% |
| 後発品(成分名+メーカー名) | ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「○○」/ヘパリン類似物質クリーム0.3%「○○」/ヘパリン類似物質ローション0.3%「○○」/ヘパリン類似物質外用スプレー0.3%「○○」 など | ヘパリン類似物質0.3%(同じ成分・同じ濃度) |
有効成分と濃度は同じなので、保湿・血行改善という働きは同等です。違いが出るのは、成分を溶かし込んでいる基剤(油分・水分のバランス、添加物)で、これが使用感・伸び・べたつき・まれなかぶれの出やすさに関わります。「ヒルドイドの後発品は効かない」ということはありませんが、基剤の違いで「しっとり感が違う」と感じる方はいます。合わなければ別のメーカーや剤形に変えられますので、診察時にお伝えください。
なお、ヘパリン類似物質は血液をサラサラにする注射薬「ヘパリン」とは別の物質です。皮膚に塗って使う分には全身への影響は考えにくいとされていますが、後述のとおり出血しやすい病気の方には使えません。
剤形の違いと選び方|ソフト軟膏・クリーム・ローション・フォーム
ヒルドイドの4つの剤形は有効成分と含有量が同じで、違うのは使用感・伸びやすさ・べたつき・塗りやすい部位です。効果の強弱を一列に並べるのではなく、続けられる使用感と塗る部位で選びます。
| 剤形 | 使用感の特徴 | 選ばれやすい部位・場面 |
|---|---|---|
| ソフト軟膏 | 水分を含む乳剤性の基剤で、しっとり感が長く続き、刺激が少ない。ややべたつく | 乾燥の強い体・手足、ひび割れ、夜の使用、乳幼児・高齢者、刺激に敏感な部位 |
| クリーム | 伸びがよく、べたつきが少ない | 日中の使用、顔・首、広い範囲、べたつきが苦手な方 |
| ローション | さらっとして最も伸びる | 夏、背中など手の届きにくい広範囲、頭皮や毛の多い部位、汗をかく時期 |
| フォーム(泡) | 泡で出てきて広範囲に素早く伸ばせる。べたつかない | 小さなお子さんの全身、朝の忙しい時間、広範囲に手早く塗りたいとき |
「冬はソフト軟膏、夏はローション」「体はソフト軟膏、顔はクリーム」のように、季節と部位で使い分けるのが実用的です。使用感が合わない場合は剤形を医師・薬剤師にご相談ください。塗った部分に赤み・かゆみ・発疹などが出た場合は、使用を中止して相談してください。どの剤形でも、塗る量が足りなければ効果は出ません。
保険で処方できる病気|乾燥肌・手荒れ・しもやけ・ケロイドと、美容目的に使えない理由
ヘパリン類似物質の塗り薬は、保湿作用に加えて血行を促す作用・抗炎症作用があり、添付文書では次のような病気・状態に承認されています。
- 皮脂欠乏症——いわゆる乾燥肌。かゆみ・粉ふき・ひび割れ(皮脂欠乏性湿疹の診療案内)
- 進行性指掌角皮症——水仕事などで指先・手のひらが硬くなりひび割れる手荒れ(手湿疹・主婦湿疹のコラム)
- 凍瘡——しもやけ(しもやけのコラム)
- 肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防——傷跡の盛り上がり(ケロイド・肥厚性瘢痕のコラム)
- 血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患——注射後の硬結・痛みなど
- 血栓性静脈炎(痔核を含む)
- 外傷(打撲・捻挫・挫傷)後の腫れ・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎
- 保険診療で処方できるのは、診察のうえ上記の病気・状態と診断された場合です。「肌をきれいにしたい」「化粧水代わりに使いたい」「家族の分もほしい」といった病気の治療と関係のない美容目的の処方は保険の対象外で、当院でも行っていません。一方、治療中の病気の状態を保つために症状が落ち着いている時期も保湿を続ける場合や、ケロイド・肥厚性瘢痕の予防など、承認された効能の範囲では処方が必要なことがあります。処方の必要性は診察で判断します
- 乾燥によるかゆみや湿疹がある方は、診察で状態を確認したうえで処方します。「保湿剤だけください」というご要望でも、まず診察が必要です
- アトピー性皮膚炎の方のスキンケアとしての保湿は、治療の一部として処方します(アトピー性皮膚炎の診療案内、乳児湿疹・赤ちゃんの保湿のコラム)
市販のヘパリン類似物質との違い
ドラッグストアでも、ヘパリン類似物質0.3%を配合した市販薬(第2類医薬品)や、ヘパリン類似物質配合の化粧品類が多数売られています。「医薬品」として売られているものは、成分・濃度が処方薬と同じ0.3%のものが中心です。
| 項目 | 処方薬(保険) | 市販薬(医薬品) |
|---|---|---|
| 成分・濃度 | ヘパリン類似物質0.3% | 多くは0.3%(製品で確認) |
| 使える目的 | 診察で診断された病気の治療 | 乾燥肌・手荒れ・しもやけなど(添付文書の範囲) |
| 費用 | 薬剤費は1本数十〜数百円+診察料など | 製品・容量により異なる(店頭価格) |
| 向いている方 | 湿疹・かゆみ・ひび割れなど症状がある方 | 軽い乾燥を自分で手当てしたい方 |
このほか、ヘパリン類似物質を配合した医薬部外品・化粧品もあります。医薬品と違って病気の治療の効能はうたえず、配合量が表示されていない製品も多いため、成分表示・表示されている用途で区別し、症状のない日常の保湿向けと考えてください。
軽い乾燥であれば市販品で十分なことも多く、「症状がないのに保険で処方してほしい」よりも、市販のヘパリン類似物質製品を使うほうが合理的です。一方、かゆみ・赤み・ひび割れ・湿疹が出ている場合は、保湿だけでは治らず、ステロイド外用薬などの治療が必要なことがあるため、皮膚科で診察を受けてください。
使い方と注意点|塗る量・タイミング・ステロイドとの順番・使えない方
- 回数——添付文書では1日1〜数回。乾燥が強い時期は朝晩2回以上が目安です
- タイミング——入浴後、皮膚が乾き切る前(目安は上がって数分以内)に塗ると水分を閉じ込めやすくなります
- 量——口径約5mmのチューブから成人の人差し指の先から第1関節まで出した量(約0.5g)で、成人の手のひら2枚分が目安(軟膏・クリームの場合)。ローションやフォームは容器が違うため同じ見た目の量を当てはめず、処方時の説明に従ってください(フォームは製品の説明書や薬局の説明にある目安(キャップで量る等)に従ってください)。塗った部分がしっとり光り、ティッシュが1枚くっつく程度が適量で、足りない方が多い薬です
- 塗り方——すり込まず、毛の流れに沿って皮膚の上に広げます。乾燥している部位だけでなく、乾燥しやすい範囲全体に
- ステロイド外用薬との順番——保湿剤を全体に塗ってから、湿疹のある部分にステロイドを重ねる方法が一般的です。順番の指示があればそれに従ってください(ステロイド軟膏の強さ一覧(塗る量と順番))
- 塗ってはいけない場所——潰瘍・びらん(皮膚がむけてじゅくじゅくしている面)には直接塗らない(添付文書)。目に入らないように
- 出血性の血液の病気(血友病・血小板減少症・紫斑病など)の方、わずかな出血でも重大な結果になりうる方は禁忌です。ヘパリン類似物質に血液を固まりにくくする作用があるためです
- 成分に過敏症の既往がある方は使えません。塗った部分に赤み・かゆみ・発疹が出る「かぶれ」が0.1〜5%未満で報告されています。悪化する場合は中止して受診を
- 出血傾向のある方、抗凝固薬を飲んでいる方は、処方時にお伝えください
費用の目安(保険診療)と選定療養
| 製剤 | 薬価(1gあたり) | 3割負担の薬剤費の目安 |
|---|---|---|
| ヒルドイドソフト軟膏/クリーム/ローション0.3%(先発) | 17.70円 | 25g:約130円/50g:約270円(選定療養の対象でない場合) |
| ヒルドイドフォーム0.3%(先発) | 18.20円 | 92g:約500円(同上) |
| ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%(後発) | 6.0〜6.3円 | 25g:約45〜50円/50g:約90〜95円 |
(薬価は2026年10月14日時点の厚生労働省薬価基準で確認)これに診察料・処方箋料・調剤料が加わります。
- 後発品がある先発品を、医療上の必要性ではなく患者さんの希望で選ぶ場合、「長期収載品の選定療養」として、2026年6月からは先発品と後発品の価格差の2分の1相当を特別の料金として負担し、この部分には消費税がかかります(2024年10月の開始時は4分の1相当でした)。ヒルドイド(ソフト軟膏・クリーム・ローションなど)も対象品目に含まれています。剤形ごとの対象や例外の該当は薬局・当院で確認できます
- 計算の仕組みの例(ソフト軟膏100g・3割負担・比較対象の後発品6.30円/gの場合):特別の料金(税抜)=(17.70−6.30)×1/2×100=570円、税込627円。保険部分は先発薬価から特別の料金(税抜)分を差し引いた額に3割をかけ、(17.70−5.70)×100×0.3=360円。合計の単純計算で約990円。選定療養の対象でない場合の薬剤費は17.70×100×0.3=531円です(端数処理・診察料等は含みません)
- 医療上の必要性が認められる場合や、後発品の在庫状況等から後発品の提供が難しい場合は対象外になることがあります。該当するかは医師・薬剤師が判断します。実際の負担は薬局でご確認ください(制度の確認日:2026年11月5日)
※薬剤費のみの概算です。診察・処方・調剤等の費用は別で、自己負担割合・処方量・医療費助成等により実際の支払いは異なります。
受診の目安・急ぐ症状|保湿だけでは足りないサイン
- 保湿を続けてもかゆみ・赤み・粉ふきが2週間以上続く(皮脂欠乏性湿疹に進んでいる可能性。ステロイド外用薬が必要なことがあります)
- 手指のひび割れ・あかぎれが治らない、水仕事のたびに悪化する
- 保湿剤を塗った部分が赤くなる・かゆくなる(基剤へのかぶれの可能性。製品を変えます)
- 乳幼児の乾燥・湿疹で、保湿剤の選び方・塗る量が分からない
- 処方されたヘパリン類似物質の剤形が合わない(べたつく・伸びない)
- かゆみが全身に広がる、掻き壊して汁が出る・かさぶたが広がる——湿疹の悪化や感染の可能性。保湿だけで粘らず受診を
- 発疹がないのに全身がかゆい状態が続く——乾燥以外の原因(内臓の病気・薬)のことがあります(皮膚掻痒症のコラム)
- 塗った部分に水ぶくれ・強い腫れ——かぶれの可能性。中止して受診を
当院の保険診療は初診予約不要です。他院で処方された保湿剤の相談も受け付けています。診療時間・受付時間をご確認のうえご来院ください。
※この記事は一般的な情報です。実際の塗り方・量・期間は処方医の指示が優先します。
「保湿しているのに治らない」は、保湿剤の量か、保湿以外の治療が必要なサインです
初診は予約不要・保険診療
乾燥・かゆみ・手荒れの状態を診察し、ヘパリン類似物質の剤形と塗る量、必要ならステロイド外用薬との組み合わせをご提案します。使っている保湿剤(市販品も)をお持ちください。
TEL03-3413-6600 公式LINEはこちら 診療時間・行き方を確認する(アクセスページ)保険診療の初診は予約不要です。受付は診察終了の15分前までです。薬の使い方は処方元の医療機関・薬局へも確認できます。LINEでは診断・処方は行っていません。
土 9:30〜12:00 / 14:00〜17:00
木・日・祝 休診
〒154-0011 東京都世田谷区上馬3-18-11 エルフレア駒沢3F
よくある質問
関連ページ
参考資料
- PMDA(医薬品医療機器総合機構):ヒルドイドクリーム/ソフト軟膏/ローション/フォーム0.3% 添付文書——効能又は効果、用法及び用量、禁忌(出血性血液疾患)、適用上の注意(潰瘍・びらん面を避ける)(2025年7月改訂)
- 日本皮膚科学会:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024——保湿外用薬によるスキンケアの位置づけ、塗布量の目安
- NHS(英国国民保健サービス):Emollients——保湿剤の剤形(ローション・クリーム・軟膏)の使い分け、塗り方、ステロイド外用薬との間隔
医療法人社団 誠清会 理事長
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 山梨医科大学医学部(現・山梨大学医学部)卒業 / 同大学皮膚科学教室 入局
- 同大学 救急部麻酔科にて全身管理を研修
- がん研究会がん研究所 生化学部にて皮膚がんの発生メカニズムを研究(国内留学)
- スウェーデン・ルードヴィック癌研究所 研究員(国際共同研究)
- 山梨医科大学 皮膚科 助手・医局長 歴任
- 2003年11月 駒沢皮膚科クリニック 開院(開業20年以上)
皮膚がん・アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・ニキビ・ニキビ跡・アレルギー性皮膚疾患・美容皮膚科
- 医学博士
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会 会員
- 日本臨床皮膚科学会 会員
- 日本アレルギー学会 会員
- 日本美容皮膚科学会 会員
- 「血小板由来成長因子(PDGF)のシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により文部科学省 科学研究費助成(平成13〜14年度)
- 「隆起性皮膚線維肉腫におけるPDGFのシグナル伝達機構および癌化調節機構の検討」により日本皮膚科学会 基礎医学研究費(資生堂寄付)授与(平成14年度)
ヘパリン類似物質の塗り薬は、診察室で「ちゃんと塗っています」と言われても、量を確認すると目安より少ないことが多い薬です。剤形を選ぶより先に、まず量を増やすだけで良くなる方が少なくありません。一方で、美容目的で処方を希望される方には、保険では出せないことを正直にお伝えしています。乾燥肌の保湿なら市販のヘパリン類似物質製品で十分なことも多く、かゆみや湿疹が出ているなら保湿だけでは足りない、というのが線引きです。使っている保湿剤を持ってきていただければ、塗り方からご説明します。まずお気軽にご来院ください。
ご来院・アクセス
初診は予約不要・保険診療
乾燥・かゆみ・手荒れが続く方は、保湿剤の剤形と量の見直しから一緒に行います。保湿しても治らない場合は、保湿以外の治療が必要なことがあります。
TEL03-3413-6600 公式LINEはこちら 診療時間・行き方を確認する(アクセスページ)保険診療の初診は予約不要です。受付は診察終了の15分前までです。薬の使い方は処方元の医療機関・薬局へも確認できます。LINEでは診断・処方は行っていません。
土 9:30〜12:00 / 14:00〜17:00
木・日・祝 休診
〒154-0011 東京都世田谷区上馬3-18-11 エルフレア駒沢3F






【美容施術時間】
▲=土曜午後/14:00〜17:00
